良性外耳腫瘍(読み)りょうせいがいじしゅよう(英語表記)Benign tumor of the external auditory canal

六訂版 家庭医学大全科 「良性外耳腫瘍」の解説

良性外耳腫瘍
りょうせいがいじしゅよう
Benign tumor of the external auditory canal
(耳の病気)

どんな病気か

 外耳道や耳介(じかい)の皮膚には皮膚上皮のほか、毛嚢(もうのう)耳垢腺(じこうせん)皮脂腺などの皮膚付属器が豊富にあるので、皮膚の基底膜以外からもさまざまな腫瘍が発生します。

 外耳道・耳介に多い良性腫瘍は、①粉瘤(ふんりゅう)、②類皮様嚢腫(るいひようのうしゅ)、③色素性母斑(しきそせいぼはん)、④血管腫(けっかんしゅ)、⑤脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)、⑥腺腫(せんしゅ)、⑦肉芽腫(にくげしゅ)などです。

症状・検査と診断・治療

粉瘤アテローム

 皮脂腺の貯留嚢胞(ちょりゅうのうほう)で、耳垂(じすい)や耳介後面に好発します。通常は無症状ですが、感染を伴うとつぶれて、オカラ状の内容が出てきます(図15)。

②類皮様嚢腫

 全身の皮膚に生じる嚢腫で、顔面や頭部に好発します。耳介では耳垂後面に多く、角化して生じた角質が貯留分解し、酪酸様(らくさんよう)悪臭を放つ粥状(じゅくじょう)の内容物が充満しています。

③色素性母斑

 出生時からみられる、褐色ないしは黒色の色素斑で、扁平なものから隆起性のものがあり、時に剛毛を伴うこともあります。大きなほくろなので美容上の観点から切除することが多いです。悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)との区別が重要です。

血管腫

 先天性ですが、生後数カ月間は拡大する傾向があります。単純性・イチゴ状・海綿状の3種類に分類されます。イチゴ状血管腫では自然消退もありえるので、10歳前後まで経過を観察します。あまり縮小しないものや、美容上問題となる場合はレーザー手術や冷凍手術を行います。

脂漏性角化症

 外耳道入口部に生じることの多い腫瘍です(図16)。

⑥腺腫

 耳垢腺、皮脂腺から発生する良性の腫瘍です(図17)。

⑦肉芽腫

 ピアスなどの刺激により反応性の肉芽増殖が起こり、腫瘤(しゅりゅう)となります(図18)。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報