精選版 日本国語大辞典 「花藺科」の意味・読み・例文・類語
はない‐かはなゐクヮ【花藺科】
- 〘 名詞 〙 単子葉植物の科名。主に熱帯とユーラシア大陸の温帯に五属八種知られている。水生の多年草または一年草で、通常、根茎が発達する。普通、乳管がある。葉は線形、楕円形で根生するか、茎葉がある。花は花茎の先端に単生するか集散状散形花序になり、苞葉がある。両性、放射相称、三数性。六枚の花被は二輪列し、三外花被は萼様でまれに緑色。内花被は花弁状、瓦状排列し、通常薄質宿存性かまたは早落性。まれに内花被がない。雄しべは六~九個、まれに五個のものと、多数のものとがあり、後者では時に葯のないものが外側に多数排列して花糸の部分が扁平になる。また、後者の子房は一五~二〇または八以下の心皮からできているのに対し、前者の子房は六~九心皮からなる。いずれも互いに離生し基部でのみ合生、上位。胚珠は各心皮に多数散在し、双子葉植物スイレン科の中のジュンサイの仲間のそれに類似することが指摘されている。解剖学的見解からこの群が単子葉植物の中では最も双子葉植物に近縁であると推論されている。なお、この科のうち雄しべが六~九で花被が宿存性のものだけを狭義のハナイ科とし、トチカガミ科との類縁関係から残りを独立の一科として扱うことがある。日本には自生しない。