改訂新版 世界大百科事典 「草型」の意味・わかりやすい解説
草型 (くさがた)
plant type
茎や枝張りなどの特性によって規定される草本性植物の地上部の概形をいう。樹木についていわれる樹形にも通ずる概念で,とくに農学分野で使われることが多い。草型は遺伝的に規定される面が強いため,種や品種の特性を表現する場合の,主要な形質の一つとして重要視されている。作物により草型の分類方式は多様であるが,以下二,三の例を示すと,まず,茎の性質に基づいて直立型,匍匐(ほふく)型あるいは矮性,つる性などという区別がなされている。また直立型のものであっても,側枝の伸長の程度により,縦断面でみた植物体の輪郭が円形のもの,楕円形のもの,卵形のものあるいは開張形のものなど,さまざまな分級が行われている。イネ科の作物は一般に多数の分げつが発生するため,草型は叢状を呈するが,分げつ数と草丈(くさたけ)(株をまとめ持った場合の地際から作物体最頂部までの長さ)とに着目し,短稈(たんかん)多けつ型,長稈少けつ型といった分類が一般に行われている。また1株に形成される穂の数と個々の穂の重量(穂に着生する穀粒数に比例する)との関係に着目し,穂数型,穂重型などの分類も一般で,両者の関係を草型指数として数量的に表示する試みも行われている。集団で栽培される作物にあっては,草型の相違は太陽光の透過やその利用に大きく関連してくるものであり,この点で,農業生産上,草型の意義が重視される。
執筆者:山崎 耕宇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報