荘家の一揆(読み)しょうけのいっき

百科事典マイペディア 「荘家の一揆」の意味・わかりやすい解説

荘家の一揆【しょうけのいっき】

中世荘園公領制下の貢納賦役(こうのうふやく)に反対する農民闘争形態。鎌倉時代以降,小百姓(こびゃくしょう)層の成長により農村の自治組織((そう)結合)が形成・強化され,荘園領主に対して年貢公事(くじ)の減免や不当な荘官代官更迭(こうてつ)などを要求した。惣のもとに結集した農民は,鎮守や村堂などで寄合(よりあい)を開き,領主に対しての要求書である百姓申状(もうしじょう)を作成,一味神水(いちみしんすい)によって結束を強め,要求が通らない場合には逃散(ちょうさん)などを繰り返して要求の実現に努めた。→一揆

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改訂新版 世界大百科事典 「荘家の一揆」の意味・わかりやすい解説

荘家の一揆 (しょうけのいっき)

荘園制社会において,貢納賦役に反対する農民の闘争。中世を通じて存在した農民闘争の基本形態である。1350年(正平5・観応1)10月25日,橘仲貞の山城国上久世荘公文職請文条々に〈たとい百姓等庄家之一揆を称し,みだりに嗷々之群訴を致すといえども,すなわち同心許容之儀あるべからず〉(《東寺百合文書》)とある。鎌倉時代以降,畿内やその周辺の荘園村落では,小百姓層の成長をてことして自治組織(結合)が形成・強化され,荘園領主に対して,年貢・諸公事の減免,非法代官の更迭を要求する動きが顕在化した。惣に結集した農民は,鎮守,村堂,講などで寄合を開き,領主に対する諸要求をまとめて百姓申状を作成し,一味神水して要求が貫徹するまで結束して闘うことを誓約した。連署の起請文を添えた申状を提出しても要求がいれられない場合,列参強訴や逃散(ちようさん)などがくりかえされた。
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世界大百科事典(旧版)内の荘家の一揆の言及

【土一揆】より

…要求が容れられなければ逃散(ちようさん)つまり耕作放棄という非常手段で闘った。この強訴逃散は荘家の一揆(しようけのいつき)とも呼ばれ,武力蜂起に近いものもあった。荘家の一揆は荘園単位の闘争で,荘園の枠を超えて徳政を要求した土一揆つまり徳政一揆とは区別されるが,両方を含めて土一揆と呼ぶことができる。…

【山城国】より

…政治の中心地であったために,保元・平治の乱(1156,1159)以来,戦国の争乱まで,治承・寿永の内乱,南北朝内乱,応仁・文明の乱というように,多くの内乱の主戦場となり,そのために多くの民衆が戦乱や兵粮米(ひようろうまい)の徴発に苦しむという側面もあった。また,山城国の荘園は小規模なものが多く,開発領主に代表されるような有力な在地領主が存在せず,早くから村落の自治的な結合が発達し,それを基盤として,荘園領主に年貢減免や井料の下行(げぎよう)を要求する荘家の一揆(しようけのいつき)が頻発した。一方,京都や奈良の影響によって貨幣経済の浸透も早く,貨幣の貸借を前提とする土地移動も激しく,その影響によって,徳政令(とくせいれい)を要求する一揆がさかんに起きた。…

※「荘家の一揆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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