ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
逃散
ちょうさん
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中世の農民闘争の一形態で、多くの農民が田畑を捨てて他所に逃れることをいう。類似の行為は古くからみられるが、古代の場合には、これを逃亡、浮浪とよび、重課に耐えかねた農民たちが、貴族・社寺・地方豪族の所領に流入し、課役を逃れようとするものであった。しかし、中世の逃散はさらに積極的な意味を帯びたもので、荘園(しょうえん)領主に対し年貢・夫役(ぶやく)の減免、非法代官の排斥、井料(いりょう)の下行(げぎょう)(用水の管理費の給付)などを要求し、この要求が認められなかった場合に行われた。したがって、古代の逃亡とは異なり、村落の惣(そう)的結合を基盤とし、多数の農民が集団的な行動をとった。そのため、領主の受ける打撃も大きく、逃散を受けた領主が年貢を減免したり、非法のあった代官を改替させる事例も多かった。戦国・織豊(しょくほう)時代には数か村の百姓が申し合わせて逃散することもあったが、幕藩体制のもとでは厳重に禁止されたために、しだいに下火となった。なお、中世においても1人あるいは数人が村落を逃れ去る行為はあったが、これらは欠落(かけおち)、逐電(ちくでん)とよばれ、逃散と区別されている。
[黒川直則]
『中村吉治著『土一揆研究』(1974・校倉書房)』
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…それは同時に共同体成員すなわち自由民としての義務とうけとられていたので,これを果たしていれば平民の移動の自由は保証されたが,種子・農料の下行や出挙をうけながら,年貢・公事を未進(みしん)することは,自分自身あるいは子供を身代(みのしろ)として贖(あがな)わなくてはならない罪であった。中世社会にはこのような未進,それに伴う借銭によって下人に身を落とす人々が多く,なかには共同体から離脱・逃散(ちようさん)して浮浪するものも少なくなかったのである。 しかも田畠はまだ荒れやすく,川成(かわなり)・不作として休耕しなくてはならないこともしばしばで,畿内とその周辺などでは田畠の年貢部分をこえる得分(とくぶん),加地子(かじし)の得分や耕作権が売買の対象になっているが,全般的には不安定な田畠に対する平民の権利は弱体であった。…
…日本の近世期に,手不足のために耕作放棄された耕地をいう。初期には,その最大の原因は領主の苛斂誅求(かれんちゆうきゆう)にあり,年貢諸役の負担に耐えかねた百姓が逃散(ちようさん),走り,潰れ(つぶれ)などで離村し,その跡に手余地が発生した。例えば1618年(元和4)春,会津藩(蒲生氏)領の栃窪村では年貢諸役の重圧に抗して村ぐるみで百姓が逃散し,これに対して藩は年貢諸役を免じて〈田地は作取(つくりとり),諸役之儀も申付間敷……未進をも用捨〉と譲歩したが百姓は帰村せず,同年10月には肝煎(きもいり)以下全員が村に不在という荒廃状態になった。…
…平安時代以降,王臣貴族や寺社による野の占有,開発(かいほつ)は抑え難い勢いで進み,天皇家も蔵人所(くろうどどころ)猟野を定めており,院政期以後に立券された荘園の四至(しいし)内には,それぞれに区別され,丈量された原と野とが見いだされる。しかし鎌倉時代以降も,逃散(ちようさん)する百姓たちがしばしば〈山野に交わる〉といったように,野は,そこで起こった闘諍はその場のみで処理される無主の地,アジール的な特質を失っていない。とはいえ山林と違い,江戸時代には灌漑,治水の技術の発展とともに,武蔵野をはじめ野の開発は急速に進行していった。…
…逃亡を〈走る〉と表現する例は中世に広くみられるが,走者という語法はそれほど一般的ではない。その実態は被官・中間(ちゆうげん)・下人・百姓など多様であるが,逃散(ちようさん)のような組織的な公然たる抵抗をあらわす逃亡よりは,むしろ走入(はしりいり)・欠落(かけおち)など,負債や困窮を原因とする個別的なひそかな逃亡についていい,中世を通じてその例は多い。そのため村落の内部で〈はしり候者見かくし候はば,となり三間として御年貢納所仕るべし〉(《今堀日吉神社文書》)と,走者を隣人の連帯責任として規制した村掟もみられる。…
※「逃散」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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