改訂新版 世界大百科事典 「華籠」の意味・わかりやすい解説
華籠 (けこ)
仏事の法具名。花籠とも書く。宗派により〈はなご〉とも〈けろう〉とも読み,また〈衣裓(えこく)〉とも称する。花皿(はなざら)というのは俗称。散華(花)(さんげ)に用いる花を盛る皿状の器。元来は竹で編んだ籠であるが,それを模した金属製のもののほうが広く用いられている。竹製のものは,紫色や黒色に染めたり金箔を置いたりしてあることが多く,金属製のものは金色である。縁には3ヵ所に長い組ひもを取り付けて垂らすのが普通だが,特定の法要ではひもなしのものを用いる。ひもは,赤,紫など一色のものと,二色,三色組み合わせたものとあり,法要の役によって使い分ける例もある。華籠に盛る花は,生花を用いるのが本来であろうが,その例はきわめてまれで,通常樒(しきみ)の葉や紙製の蓮弁などを用いる。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報