国指定史跡ガイド 「萩往還」の解説
はぎおうかん【萩往還】
山口県山口市、萩市、防府市にまたがる街道。萩往還は1604年(慶長9)の萩城築城後、城下町萩(萩市)と瀬戸内の港、三田尻(みたじり)(防府市)をほぼ直線で結ぶ街道として開かれ、全長は53kmに及ぶ。この街道は政治的交通路としての性格が強く、とりわけ参勤交代によって大量の人馬の移動が行われるようになり、「御成道(おなりみち)」とも呼ばれた。萩城下の中心となる唐樋(からひ)の札場を基点として三田尻にいたるが、この間には1859年(安政6)に護送される吉田松陰が歌を詠んだ場所といわれる涙松、一里塚、悴坂(かせがさか)駕籠建場、茶屋、本陣、船倉など数々の遺跡がある。また、萩市の佐々並(ささなみ)では、宿場町の面影を残す250mの石畳が発見された。山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡道として重要な交通路となり、幕末には維新の志士たちが往来し、歴史上重要な役割を果たしてきた古道である。1989年(平成1)に国の史跡に指定された。萩往還佐々並地区へは、JR山陰本線萩駅から車で約38分。