防府市(読み)ホウフシ

デジタル大辞泉 「防府市」の意味・読み・例文・類語

ほうふ‐し〔ハウフ‐〕【防府市】

防府

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日本歴史地名大系 「防府市」の解説

防府市
ほうふし

面積:一八六・〇六平方キロ

山口県のほぼ中央南側に、周防灘に面して位置する。旧佐波さば郡の南半を割いてできた市で、東北から南西に流下する佐波川が市域を二分する。東は大平おおひら(六三一・三メートル)から北に延びる山地で徳山市と境し、北は根啼ねなき山・三条さんじよう山などで佐波郡徳地とくじ町、西は山口尾やまぐちお(四八六・六メートル)さば山などを境に山口市に接する。南方海上のむこう島・佐波島をはじめ、遠く東南方に浮ぶ島も市域に属する。

佐波川河口の沖積地や、その東に続く多々良たたら山と大平山に挟まれた平地の山際、かつて島であった田島たじまなどに早くから人が住み、文化が発達したようである。

防府の地名は周防国府を略した呼び方であるが、古くは府中の名も用いている。いつ頃から防府の名称を使ったかはわからないが、防府天満宮所蔵の大永四年(一五二四)六月一〇日付の文書に「防府宮市同月代事」とみえる。

〔原始〕

縄文時代遺跡はあまり多くはないが、山口市域にまたがる長沢ながさわ池周辺でこの時代の住居跡が確認されている。弥生時代の遺跡は佐波川下流左岸の沖積地に隆起する孤立丘の井上いのうえ(五五メートル)の、頂上から斜面にかけて弥生中期から後期の高地性集落跡があり、また右岸右田みぎた地区の沖積段丘にも弥生中期から古墳時代にかけての村落遺跡が残る。

佐波川の沖積平野とその周辺の台地は以後古墳時代を経て古代における周防国の中心地となる。とくに古墳が多く残り、大型の前方後円墳としては防府市街にある車塚くるまづか古墳や佐波川右岸高井の大日たかいのだいにち古墳など、円墳には径が三六メートルもあったといわれる桑山くわのやまとう古墳、巨大な石室墳には鋳物師いもじ古墳があり、近くの天神山てんじんやま古墳からは大陸文化の伝来を示す副葬品なども出土している。また海に浮ぶ島を清浄な地として、豪族たちの墓所としたと思われる田島の黒山くろやま古墳群などもみられる。

〔古代〕

これら佐波平野を中心とした古墳は沙麼県主の一族と関係があると考えられている。沙麼県さばのあがたは大化改新以前に全国に置かれた県の一つで、沙麼県主の語は「日本書紀」神功皇后摂政前紀(仲哀天皇九年)に「是に神有して、沙麼県主の祖内避高国避高松屋種に託りて、天皇に誨へて曰はく」とある。都怒国造の勢力範囲であったと思われるのちの佐波一帯も、瀬戸内海交通の要衝として重要視されていたようである。

その後佐波地方には土師連を称する氏族が住んだ。推古天皇の時、征新羅将軍来目皇子が筑紫で亡くなり、引き返して娑婆さばの地に殯せられた時、土師連猪手がそのとむらいをつかさどり、以来その子孫は娑婆連を称したという(「日本書紀」推古天皇一一年)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防府市」の意味・わかりやすい解説

防府〔市〕
ほうふ

山口県中央南部,周防灘にのぞむ市で,向島を含む。 1936年防府,中関の2町と華城,牟礼の2村が合体して市制。 39年西浦村,51年右田村,54年富海村,55年小野村大道村をそれぞれ編入。広い平野と佐波川の水に恵まれ先史時代遺跡も多い。大化改新 (645) で周防国の国府がおかれ,名称もこれに由来。室町時代は大内氏,弘治3 (1557) 年以降毛利氏が支配した。中心市街地は宮市と三田尻で,宮市は近世山陽道宿場町,防府天満宮鳥居前町市場町を兼ねて繁栄。三田尻は港町で毛利水軍の御船倉がおかれた。周南工業地域の西端にあたり,繊維,酒造,製袋などの工場があり,陶管,陶器,水産加工などの在来工業も行われる。史跡の大日古墳,周防国分寺旧境内,周防国衙跡,敷山城跡などがある。毛利博物館は雪舟作『山水長巻』など4点の国宝を収蔵。古刹阿弥陀寺には国宝鉄宝塔がある。向島のタヌキ生息地,西浦のエヒメアヤメ自生南限地帯は天然記念物。 JR山陽本線,国道2号線,262号線が通り,山陽自動車道の防府東,防府西インターチェンジがある。面積 189.37km2。人口 11万3979(2020)。

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防府市歴史用語集 「防府市」の解説

防府市

 1902年に佐波村三田尻村が合併して防府町になった後、1936年に防府町・中関町・華城村牟礼村が合併して、はじめて市になりました。後に西浦村・右田村・富海村・小野村・台道村と合併し、今の市域になります。防府という名前は「周防の国府」からきています。

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