葛城の神(読み)カツラギノカミ

デジタル大辞泉 「葛城の神」の意味・読み・例文・類語

かつらぎ‐の‐かみ【葛城の神】

大和葛城山に住むとされる神。一言主神ひとことぬしのかみをいう。えんの行者命令で葛城山と金峰山きんぶせんとの間に岩橋を架けることになったが、容貌ようぼうの醜いのを恥じ、夜しか働かなかったので完成しなかったという伝説から、物事が成就しないときや、顔の醜い人などの例に引かれる。→久米の岩橋
「つたなやつたの葉の―姿、恥づかしや由なや」〈謡・定家

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精選版 日本国語大辞典 「葛城の神」の意味・読み・例文・類語

かつらぎ【葛城】 の 神(かみ)

  1. 奈良県葛城山の山神。特に、一言主神(ひとことぬしのかみ)。また、昔、役行者(えんのぎょうじゃ)の命で葛城山と吉野金峰山(きんぷせん)との間に岩橋をかけようとした一言主神が、容貌の醜いのを恥じて、夜間だけ仕事をしたため、完成しなかったという伝説から、恋愛や物事が成就しないことのたとえや、醜い顔を恥じたり、昼間や明るい所を恥じたりするたとえなどにも用いられる。
    1. [初出の実例]「かづらきやくめのつぎはしつぎつぎもわたしもはてじかづらきのかみ」(出典:清正集(10C中))
    2. 「あまりあかうなりしかば、『かづらきの神、いまぞずちなき』とて、逃げおはしにしを」(出典:枕草子(10C終)一六一)

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