奈良県と大阪府の境をなして南北にのびる金剛山地の一峰。標高959m。水越峠を隔てて,南隣の金剛山とともに金剛生駒国定公園に含まれる。葛城山は広義に金剛山地全体を指す場合もある。和泉葛城山に対して大和葛城山ともいう。山頂からの眺望に恵まれ,1967年奈良県御所(ごせ)市から山上までロープウェーが開通し,山上に国民宿舎,自然研究コースなどの施設が整えられた。葛城山の南側に国道309号線が越える水越峠がある。江戸時代初期に金剛山から流下する水を人工的に分水して水越峠を越えて大和側へ流れるようにしたのが現在の水越川で,水越峠の地名は分水界を越えた川に由来する。
執筆者:水山 高幸
修験の山として知られる葛城山には,金剛山と,戒那山,天神山とも呼ばれる大和葛城山,そして和泉葛城山がある。金剛山には一言主神をまつる葛木神社,葛城山の本地仏をまつる転法輪寺(金剛山),高鴨味耜高彦根神社,葛城水分神社がまつられるほか,周辺にも古代以来の伝統ある神社が多い。葛城山一帯は修験道の開祖役小角(えんのおづぬ)の伊豆配流伝承をはじめ,記紀の伝える土蜘蛛反抗伝承,一言主神の土佐配流伝承など,古代大和朝廷に敵対し宗教的威勢を保持した伝承が伝えられている。金剛山,犬鳴山七宝滝(しつぽうりゆう)寺を拠点とした葛城修験は,友ヶ島から亀瀬宿に至る《法華経》二十八品ゆかりの28宿を設け,写経,納経を主とした修行が続けられ,後には本山派修験にとっても重要な修行地とされた。当山派三十六正大先達のうち葛城山系に属するものも多い。
執筆者:宮本 袈裟雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大阪府と和歌山県との境に連なる和泉(いずみ)山脈のほぼ中央にある一主峰。標高858メートル。金剛山地の葛城山と区別して和泉葛城山ともいう。砂岩、礫(れき)岩からなり、山頂はなだらかで、葛城山を中心に和泉山脈中央部を紀泉高原(きせんこうげん)ともよぶ。山頂北斜面の1.5ヘクタールにブナ林が広がり、分布上の貴重さにより国の天然記念物に指定されている。頂上に雨の神八大竜王を祀(まつ)る石の祠(ほこら)があり、干魃(かんばつ)時には雨乞(あまご)いの行事が行われる。付近の山地や渓谷は中世葛城修験道(しゅげんどう)の聖地で、山伏が修行した行場や経塚の遺跡がある。山頂から南方、紀ノ川方面の眺望がすばらしく、自動車も通れる登山道があり、山頂が身近になった。
[前田 昇]
大阪府と奈良県との境にある金剛(こんごう)山地北部の主峰。大和葛城山(やまとかつらぎさん)ともいう。標高959メートル。花崗(かこう)岩からなり、山頂一帯は草原で眺望に恵まれ、ツツジとススキが美しい金剛生駒紀泉(いこまきせん)国定公園内の一景勝地。奈良県御所(ごせ)市側から山上までロープウェーが通じ、山上にはロッジがある。古くは金剛山も含めて葛城山とよび、修験道(しゅげんどう)の役行者(えんのぎょうじゃ)が修行した葛城山は、南隣の金剛山である。
[前田 昇]
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…1966年大阪府の千早赤阪村側からロープウェーが通じた。葛城山とともに金剛生駒国定公園に含まれる。【水山 高幸】
[歴史]
古くは葛城山と呼ぶ。…
※「葛城山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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