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一言主神 ヒトコトヌシノカミ

デジタル大辞泉の解説

ひとことぬし‐の‐かみ【一言主神】

大和葛城(かつらぎ)山の神。悪い事も善い事も一言で言い放つ託宣神とされる。奈良県御所(ごせ)市にある一言主神社に祭られている。葛城神(かつらぎのかみ)。

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百科事典マイペディアの解説

一言主神【ひとことぬしのかみ】

日本書紀》の雄略天皇4年の条にみえる神。大和の葛城(かつらぎ)山の神で,雄略天皇が狩をしたとき,天皇と全く同じ姿をして現れ,ともに狩を楽しんだ。素戔嗚(すさのお)尊の子ともいわれ,葛城山一帯にある出雲系の神の一人。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

一言主神 ひとことぬしのかみ

記・紀にみえる神。
雄略天皇が大和(奈良県)葛城(かつらぎ)山中で出あった神。「古事記」では天皇の一行とよく似ていたとし,「善事悪事も一言でいいはなつ葛城の一言主の大神」と名のったとある。「日本書紀」では天皇と容姿が同じであったとという。

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朝日日本歴史人物事典の解説

一言主神

『古事記』『日本書紀』などに登場する託宣の神。『古事記』によれば,雄略天皇が葛城山に登ったとき,天皇の一行と何から何までよく似た一群が山に登ろうとしていた。誰かと問うと,凶事も吉事も一言でいい放つ葛城の一言主神だと答えたので,天皇が畏れて種々の物を献上すると,神は喜んでそれを受け,山の入り口まで天皇を見送ったという。なお,役の行者が鬼神らに金峯山と葛城山の間に橋を架けろと命じたときに,役の行者が朝廷を傾けようとしていると一言主神が託宣したので,一言主神は役の行者によって呪縛されたという話が『日本霊異記』『今昔物語集』にみえ,この神に対する人々の意識の変遷を知ることができる。現在の奈良県御所市森脇の一言主神神社に祭られる。<参考文献>松村武雄『日本神話の研究』4巻,西郷信綱『神話と国家』

(佐佐木隆)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ひとことぬしのかみ【一言主神】

奈良の葛城(かつらぎ)山に棲むとされた託宣の神。《古事記》によると雄略天皇が葛城山に登ったおり,向いの尾根を天皇の装束や行列と全く同じようすで登ってくる者がいた。天皇が名を尋ねるとそっくり同じ言葉を返し,をつがえると同様に矢をつがえた。そこで天皇が互いに名のりあおうと述べると,〈吾は善事も悪事も一言で言い離つ葛城の一言主の大神ぞ〉と答えた。かくて天皇は恐縮し,武器と供人の衣服を献上すると,大神は山を下って天皇を見送ったという。

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大辞林 第三版の解説

ひとことぬしのかみ【一言主神】

葛城山かつらぎさんの神。雄略天皇が葛城山に遊猟したとき、天皇と全く同じ姿で示現した。吉凶を一言で言い放つ託宣神といわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一言主神
ひとことぬしのかみ

記紀に、雄略(ゆうりゃく)天皇が葛城(かつらぎ)山に遊んだときこの神が現れ、ともに猟を楽しんだのち神は天皇を宮近くまで送ったと語る。神が現身(うつしみ)をもって出現し人と交渉するというのは神婚神話以外になく、したがってここには神観念の一変化がみられる。『古事記』では「我は善言でも悪言でも一言で効験(こうけん)を表す神」と名のったといい、これはこの神の呪言神たる性格を示す。またこの神は、『日本霊異記(にほんりょういき)』では鬼神として賀茂役公(かもえのきみ)に使役されて呪縛(じゅばく)され、『役行者本記(えんのぎょうじゃほんぎ)』では黒蛇となって葛城東谷に投棄されるに至る。ここには神の零落の姿がうかがえる。[吉井 巖]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の一言主神の言及

【現人神】より

…人の姿をとって現れる神を意味し,特に霊威のいちじるしい神についていう。古代では葛城一言主神(かつらぎのひとことぬしのかみ)や八幡神(はちまんしん)および航海神である住吉大神がそう呼ばれ,中古以降には菅原道真(北野天神)をはじめとする御霊神(ごりようしん)をさすことが多い。後者の場合そのたたりのすさまじさから〈荒人神〉の意も含まれている。…

【役行者】より

…葛城山に住む小角は,鬼神を使役して水をくませ,薪を集めさせるなどし,その命令に従わなければ呪術によって縛るという神通力の持主として知られていたが,弟子の韓国連広足(からくにのむらじひろたり)が師の能力をねたみ,小角が妖術を使って世人を惑わしていると朝廷に讒訴(ざんそ)したために,流罪が行われたという。葛城山一帯には,古くから一言主神をまつる勢力が蟠踞(ばんきよ)し,大和朝廷に対して微妙な関係にあったと考えられるが,役小角はその葛城山に住む呪術師であり,韓国連広足はその名から考えて,外来の呪術を伝える者であったと想像される。《続日本紀》編纂当時,役小角の名は世間に知られていたようであるが,少しおくれて平安時代前期に書かれた《日本霊異記》には,まとまりのある役小角の説話が収められている。…

※「一言主神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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