葛城円(読み)かつらぎのつぶら

改訂新版 世界大百科事典 「葛城円」の意味・わかりやすい解説

葛城円 (かつらぎのつぶら)

5世紀の大和の有力豪族葛城氏の出身で,大臣(おおおみ)と伝えられる。襲津彦(そつひこ)の孫で葛城玉田宿禰(すくね)の子。《日本書紀雄略天皇条によると,安康天皇を殺した眉輪(まよわ)王(皇后先夫の子)が円を頼ってきたため,安康の弟雄略に攻められ,王らとともに焼き殺された。その女韓姫は雄略の妃となったが,この事件以後葛城氏は急速に勢力を失い,その後まもなく蘇我氏が有力な地位を占めた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛城円」の意味・わかりやすい解説

葛城円
かつらぎのつぶら
(?―456ころ)

記紀には円大臣(おおおみ)(円大使主(おおおみ))、都夫良意富美(つぶらおおみ)の名で記される。大臣(おおおみ)は官職ではなく尊称。『公卿補任(くぎょうぶにん)』に玉田宿禰(たまたのすくね)の子とある。『日本書紀』によれば、履中(りちゅう)天皇2年、平群木菟宿禰(へぐりのつくのすくね)、蘇賀満智宿禰(そがのまちのすくね)、物部伊莒弗大連(もののべのいこふのおおむらじ)と国政を執(と)り、安康(あんこう)天皇3年、天皇を殺害した眉輪王(まよわのおおきみ)らを自宅にかくまい大泊瀬(おおはつせ)皇子(雄略(ゆうりゃく))により焼殺されたという。贖罪(しょくざい)のため女(むすめ)の韓媛(からひめ)と宅七区(ななところ)を献じたが許されなかった。

[加藤謙吉]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「葛城円」の解説

葛城円 かずらきの-つぶら

記・紀にみえる豪族。
葛城玉田の子。「日本書紀」によれば,履中天皇の時代に政務をとったという。安康天皇を殺害した眉輪(まよわ)王を邸内にかくまったために,安康天皇の弟大泊瀬(おおはっせの)皇子(のちの雄略天皇)に攻められ,娘の韓媛(からひめ)と宅七区(いえななところ)を献上したがゆるされず,眉輪王らとともにやき殺されたという。「古事記」では都夫良。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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