藤づるあるいは竹,ヒノキの薄板などを編んで作った籠,またこれに紙をはり渋,漆などを塗った箱。形は長方体が多く,ふたをかぶせて衣類などを入れた。衣籠,葛羅などとも書く。〈つづら〉というのは,はじめもっぱらツヅラフジのつるを用いて作ったからで,縦を丸づる,横を割づるで編み,四方のすみと縁はなめし皮で包んで作ったという。のち,ツヅラフジで作ったものはすたれた。近世に入って万年葛籠などとよばれたものは,竹,ヒノキ製に紙をはり渋や漆を塗ったもので,元禄(1688-1704)の初め,神田鍋町のつづら屋甚兵衛がはじめて作りだしたという。当時,葛籠は婚礼道具の一つであり,縦2尺3寸,横1尺4寸,深さ1尺2寸,金紋・蒔絵の上等品も作られていた。江戸,京都,大坂などにはそれぞれ葛籠師がいて製造にあたったが,その下地は近江,若狭,安芸,薩摩などの各地で作られていた。葛籠は大正初期までひろく一般家庭に用いられていたが,その後すたれてしまい,今日ではほとんど見られなくなった。
執筆者:宮本 馨太郎
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…行李が普及するのは江戸時代になってからであるが,同様のものはすでに正倉院にのこり,葛や柳製でやや小型だが,製法は今日の行李とまったく同じである。一方,室町時代になると葛籠(つづら)が生まれた。葛籠は本来はツヅラフジ製で四隅と縁をなめし革で補強してあるものだが,後には一閑張(いつかんばり)や,杉,竹の枠にむしろを張ったものも葛籠とよばれた。…
※「葛籠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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