日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツヅラフジ」の意味・わかりやすい解説
ツヅラフジ
つづらふじ / 葛藤
[学] Sinomenium acutum (Thunb.) Rehd. et Wils.
ツヅラフジ科(APG分類:ツヅラフジ科)の落葉藤本(とうほん)(つる植物)。オオツヅラフジ、ツタノハカズラ、フソナなどの異名がある。葉は長い葉柄があって互生し、広卵形または円形、しばしば3~7裂し、毛はない。雌雄異株。夏、葉腋(ようえき)に大形の円錐(えんすい)花序をつくり、小形の淡緑色花を多数開く。雄花、雌花ともに花弁、萼片(がくへん)各6枚。雄花には6~12本の雄しべ、雌花には3本の仮雄蕊(かゆうずい)と3枚の心皮がある。果実は黒色の核果。1属1種の植物で、関東地方以西の本州から九州の山野の林中に生え、中国にも分布する。つるはじょうぶで、籠(かご)を編む素材とする。
[寺林 進 2019年9月17日]
薬用
漢方では、幹、根茎、根を乾燥し、薄く横切りしたものを防已(ぼうい)または漢防已と称し、利尿、消腫(しょうしゅ)、鎮痛剤として浮腫、小便不利、関節痛、神経痛などの治療に用いる。なお、カミエビ(アオツヅラフジ)の幹と根は木(もく)防已とよばれるが、これは防已に比べて鎮痛作用が強く、利尿作用が弱いので、混同してはならない。
[長沢元夫 2019年9月17日]