葬具の販売,貸出し,および葬儀全般の世話をする業者。江戸後期には棺を売ったり葬具の賃貸をする者があり,棺屋,輿屋(こしや)と呼ばれた。明治になって,都市では共同体的な相互扶助の組織や慣習がくずれ,葬儀屋の必要が高まった。1886年1月7日の《朝野新聞》は,東京に神仏葬ともいっさいの葬具をそなえ,もとめに応じて葬式の用をたす業者の出現を報じている。現在では葬具の貸出し以外に,物品の調達,手続きの代行などをも含めたいっさいを請け負っている。
→葬式組
執筆者:遠藤 元男+鈴木 晋一 19世紀半ばのイギリスの都市では,会員死亡時の埋葬金給付を目的とする埋葬協会が貧民の間に普及する。西洋の葬儀屋の出現はこうした産業革命期の都市においてであった。アメリカでは南北戦争時に遺体防腐処置embalmingが広まり,その役割が重要となる葬儀屋は〈funeral director〉〈mortician〉と呼ばれるようになる。葬儀屋の資格免許は州法に基づいて発行されている。なお,アメリカの葬式産業を風刺したE.ウォー《囁きの霊園》(1948)の原題Loved Oneは一般に〈故人〉を意味する。
執筆者:山本 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…土葬から火葬へ変化するとともに葬式組の役割は小さくなり,さらに村落社会の急激な変化はそれを促した。そして,それに代わって葬儀屋に依頼することが一般化してきた。葬式組から葬儀屋への移行は都市化の指標になるといってもよい重要な変化である。…
※「葬儀屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加