改訂新版 世界大百科事典 「葬式組」の意味・わかりやすい解説
葬式組 (そうしきぐみ)
村落社会における葬儀執行のための近隣組織。無常講(むじようこう),不幸組(ふこうぐみ)あるいは単に講中ということが多い。葬式組として独自の組織の存在する所もあるが,一般的には村組や近隣組が葬儀に際し葬式組となる。葬儀の執行には,近隣,同族,親類,友人など死者の出た家をめぐる各種の社会関係が関与するが,そのなかで葬式組は葬儀の裏方をもっぱら担当する。おもな仕事としては,関係者への死亡通知,葬式道具の製作・準備,炊事,土葬の場合の穴掘りなどである。葬式組の各戸は分担してこれらの仕事に従事するが,もっとも重要な役である穴掘りは,各家が均等に従事するように,記録を帳面につけ,それに基づいて担当を決めることが多い。土葬から火葬へ変化するとともに葬式組の役割は小さくなり,さらに村落社会の急激な変化はそれを促した。そして,それに代わって葬儀屋に依頼することが一般化してきた。葬式組から葬儀屋への移行は都市化の指標になるといってもよい重要な変化である。
→組 →葬式
執筆者:福田 アジオ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報