薬師前町(読み)やくしまえちよう

日本歴史地名大系 「薬師前町」の解説

薬師前町
やくしまえちよう

下京区烏丸通高辻下ル

南北に通る烏丸通(旧烏丸小路)西つらの片側町。

平安京の条坊では左京五条三坊三保一二町東側、平安中期以降は高辻烏丸小路南の地。応永三二年(一四二五)酒屋交名(北野天満宮史料)に、「越後 五条烏丸西北頬 正円在判」とあり、町内に酒屋が住している。

町名は寛永一八年(一六四一)以前平安城町並図をはじめ木版絵図には「やくし前」とあって、江戸初期から現町名が使用されているが、寛永一四年洛中絵図には「稲葉堂ノ西片丁」、寛文一二年(一六七二)洛中洛外大図は「因幡薬師西片町」、宝永二年(一七〇五)洛中洛外絵図には「因幡堂前丁」、また「京雀」「京町鑑」などの刊行本には「因幡薬師前町」とあり、現町名と併用されていた。


薬師前町
やくしまえちよう

上京区廬山寺通北裏大宮西入二丁目

町の北寄りを廬山寺ろざんじ通の北裏の通りが東西に通り、東は社横やしろよこ町。

元禄末期洛中絵図と天明六年(一七八六)京都洛中洛外絵図に「社薬師前」とあり、町名は薬師如来本尊とする西福寺があったことによるという(坊目誌)。西福寺はもと近衛西洞このえにしのとう院の「左獄」(拾芥抄)近くにあって(雍州府志)斬罪の者に当寺の僧が引導を授けたことから、獄門ごくもん寺ともよばれた(拾遺都名所図会)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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