藤原実兼(読み)ふじわらの さねかね

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原実兼」の解説

藤原実兼(1) ふじわらの-さねかね

1085-1112 平安時代後期の漢詩人,官吏。
応徳2年生まれ。南家藤原季綱(すえつな)の次男藤原通憲(みちのり)の父。鳥羽(とば)天皇に東宮時代からつかえ,文章生(もんじょうしょう)から蔵人(くろうど)となる。「本朝無題詩」などに詩文があるほか,大江匡房(まさふさ)の言談である「江談(ごうだん)抄」の筆録者とつたえられる。天永3年4月2日死去。28歳。

藤原実兼(2) ふじわらの-さねかね

?-? 鎌倉時代公家
伯父三条公房(きんふさ)の養子平経高(つねたか)の「平戸(へいこ)記」によると,仁治(にんじ)3年(1242)美作守(みまさかのかみ)となる。のち侍従。従四位下

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「藤原実兼」の解説

藤原実兼

没年:天永3.4.2(1112.4.29)
生年:応徳2(1085)
平安後期の学者。父は大学頭季綱,母は若狭守通宗の娘。文章生から蔵人となり,その才は「頗る才智あり,一見一聞の事を忘却せず」と評価された。そのため大江匡房の言談である『江談抄』の筆録を依頼された。匡房は「足下なんどの様なる子孫あらましかば,何事かと思ひ侍らまし」と語ったという。しかし若くして亡くなり,その才は子の信西に受け継がれた。

(五味文彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の藤原実兼の言及

【江談抄】より

…平安末期の説話集。大江匡房(まさふさ)の談話を藤原実兼(さねかね)が筆録したもの。ただし間接的な聞書,また実兼以外の人物による筆録をも含んでいる。…

※「藤原実兼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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