朝日日本歴史人物事典 「藤原高遠」の解説
藤原高遠
生年:天暦3(949)
平安時代の歌人。大弐高遠ともいう。藤原斉敏と播磨守藤原尹文の娘の子。弟に実資,従兄弟に佐理,公任がいる。中古三十六歌仙のひとり。その伝によると極官は正三位大宰大弐。笛の名手でもあり『枕草子』などに一条天皇の笛の師であったと記されている。『拾遺集』以下の勅撰集に27首入集。家集に『大弐高遠集』があり,花山法皇や公任,宮廷女房との贈答歌はじめ屏風歌,月次歌,『長恨歌』や『上陽白髪人』の詩句を題にした歌,大宰府往復の折の長歌など,多種多様な歌が収められている。菊の宴の折,10人の女房達が次々と詠みかけたのに対し,即座に各々に返歌するなど非凡な歌才を持つ風流士であった。
(中周子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報