藤岡町(読み)ふじおかまち

日本歴史地名大系 「藤岡町」の解説

藤岡町
ふじおかまち

[現在地名]藤岡市藤岡

東は小林こばやし村など、西は上・中・下大塚しもおおづか村など、南は矢場やば村など、北は中栗須なかくりす村などと接し、町央を東西に下仁田しもにた道、南北に十石じつこく街道が通る。近世には両道が交差する交通の要衝にあり、継場、日野絹の集散市場として賑った。享和三年(一八〇三)の富士浅間神社縁起書によると、文応元年(一二六〇)日蓮が常が岡鮭ときがおかさけ塚に経を納め、富士山の分霊を勧請し鎮守として以来富士岡ふじおかと称したという。「続太平記」には永享の乱に、上杉憲実が平井ひらい城攻めにあたり、藤岡などに陣を張ったとあり、「鎌倉物語」などによると当時の藤岡城主有田定景は足利持氏の遺児永寿王丸をのがしたという。

天正一八年(一五九〇)藤岡城三万石を与えられた芦田(松平)康貞が、翌年の芦田あしだ城築城で入城、慶長五年(一六〇〇)改易となる。寛文郷帳・元禄郷帳ともに前橋藩領。後期の御改革組合村高帳では旗本水上領。元和元年(一六一五)徳川家康の勘当を受けた六男の越後高田城主松平忠輝が、駿府からの帰路当地に籠居した(伊達治家記録など)。明和七年(一七七〇)の村明細帳(星野文書)によると田方六町九反九畝余・畑方三〇二町二反八畝余、ほかに新田六一町二反余。絹八五〇疋・真綿一五貫目ほどを売っていた。絹・綿・煙草売買の市が月に一二度立ち、名主二・年寄六・問屋二が置かれている。中山道本庄ほんじよう宿(現埼玉県本庄市)下仁田吉井よしい宿(現多野郡吉井町)など諸宿の伝馬役や、南牧なんもく産の御用砥の荷役、山中さんちゆう領御手山御用などを勤めていた(明和元年「中山道増助郷免除願」同文書)。星野家蔵の絵図などによると二つの町並からなり、西部の動堂ゆるぎどう町は幅六間、長さ七町二四間の道路が東西に走り、東部の笛木ふえき町は幅七間、長さ八町一三間の通りが南北に貫いている。


藤岡町
ふじおかまち

面積:六〇・九三平方キロ

下都賀郡の南西端にあり、県の南端にあたる。東は小山おやま市、北は大平おおひら町・岩舟いわふね町、西は群馬県邑楽おうら板倉いたくら町、南は茨城県古河こが市・埼玉県北埼玉郡北川辺きたかわべ町。北西端三毳みかも(二二九メートル)を望み、南部を渡良瀬遊水地が占める。渡良瀬遊水地のある一帯はかつては赤麻あかま沼・石川いしかわ沼などが広がる湖沼地帯であった。明治三七年(一九〇四)から大正七年(一九一八)にかけて、渡良瀬川流域の鉱毒被害を防ぐという名目で、町西端を南流していた渡良瀬川を大字藤岡付近で北へ流れをかえ、谷中やなか村一帯を遊水池とした。現在東からおもい川・巴波うずま川、北から与良よら川・川・蓮花れんげ川などが流入し、南から渡良瀬川が流れ出る。北西部を国道五〇号が東西に走り、西端には東北自動車道佐野・藤岡インターチェンジがある。

南西部大字藤岡の篠山しのやま貝塚は、思川左岸の野木のぎ野渡のわた貝塚とともに、内陸最奥の貝塚である。旧赤麻沼北岸の山王寺大桝塚さんのうじおおますづか古墳、江川西岸台地の東赤麻古墳(赤麻の石室)のほか、北西三鴨みかも地区にも多数の円墳があった。


藤岡町
ふじおかちよう

面積:六五・七〇平方キロ

矢作川の支流犬伏いぬぶせ川が町の東側を南流し、飯野いいの川が西側を南流する。北部は三国みくに(岐阜県土岐市)の麓に位置し、標高六二八・三メートルの折平おりだいら山を主峰とする高原地帯。山林・原野が総面積の八二パーセントを占め、樹木の七四・五パーセントは松で、ほかに檜・杉もある。折平・北曾木ほくそぎ西市野々にしいちののなどの北西部を除けば、地力に乏しい山林が多い。町域には黒雲母花崗岩層が広く分布し、この層が風化してできるサバ土は、窯業の貴重な資源として使われる。

縄文時代の遺跡が四一ヵ所あるのに比べ、弥生時代にははざま深見ふかみから二つの壺が出土するにとどまる。古墳は白川の三しらかわのさんみや一号・二号墳と深見の御内平みうちだいら古墳の計三基が発見され、いずれも円墳である。中世、飯野川以西は高橋たかはし庄深見郷に属し、西中山にしなかやま・深見・一色いしき渡合どあい・市野々・石飛いしとび・折平・北曾木・田茂平たもだいら・飯野・迫の旧一一ヵ村がそれにあたる。


藤岡町
ふじおかちよう

中京区黒門通四条上ル

南北に通る黒門くろもん通を挟む両側町。

平安京の条坊では、左京四条二坊二保四町の地にあたる。

町名は、寛永一四年(一六三七)洛中絵図に「藤□町」。寛永一八年以前平安城町並図に「ふじおか丁」とみえる。寛文五年(一六六五)刊「京雀」に「そのかみ染物の上手にて藤岡といへるものすみける故に町の名とす。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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