蘆崎湊(読み)あしざきみなと

日本歴史地名大系 「蘆崎湊」の解説

蘆崎湊
あしざきみなと

[現在地名]青谷町青谷

近世の蘆崎村地内、勝部かちべ(青屋川)河口に設けられた湊で、酒津さけのつ(現気高町)へ海上三里、賀露かろ(現鳥取市)へ同五里、伯耆国とまり(現泊村)へ同二里(因幡志)開港の時期は不明であるが、天正―慶長期(一五七三―一六一五)鹿野しかの(現鹿野町)城主亀井茲矩が朱印船により肥前長崎を拠点に東南アジア諸国との交易を行った際、長崎と領国とを海路で結んだのが青屋川の河口であったという(青谷町誌)。勝部川河口近くのみなと神社(旧八幡宮)境内には一二基の灯籠と一対の狛犬が奉納されている。灯籠には明和四年(一七六七)・天保四年(一八三三)・嘉永四年(一八五一)の、狛犬には寛政一三年(一八〇一)年紀が刻され、金屋・関屋・鍵屋・大黒屋・舛屋・浜崎屋・米屋などの奉納者の屋号も記される。なかには長州赤間関あかまがせき(現山口県下関市)の商人の名もあり、近世、当湊へ入津する船の船籍が全国的広がりをみせていたことをうかがわせる。文久三年(一八六三)の浦水主の書上(在方諸事控)によると蘆崎浦の水主は三六人で、因幡国で最も多い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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