袴垂保輔(読み)はかまだれやすすけ

百科事典マイペディア 「袴垂保輔」の意味・わかりやすい解説

袴垂保輔【はかまだれやすすけ】

平安中期の説話上の大強盗。《今昔物語集》《宇治拾遺物語》には袴垂と保輔の名が別々に登場しており,同一人物をさすのか,二人の別人が合体して一人の人物になったのかは不詳。《宇治拾遺物語》は保輔を藤原保昌(やすまさ)(和泉式部(いずみしきぶ)の夫)の弟としているが,《日本紀略》《尊卑分脈(そんぴぶんみゃく)》などでは藤原保輔強盗張本として知られる。後世藤原保輔のイメージを基礎として,袴垂と保輔を同一人物とする見方が生じたのであろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「袴垂保輔」の意味・わかりやすい解説

袴垂保輔
はかまだれやすすけ

袴垂の名は『今昔物語』『宇治拾遺物語』にみえ、文中では大盗人として登場する。袴垂保輔といわれるのは、平安中期における盗賊の頭目であった藤原保輔と結び付けたものであろう。藤原保輔は『尊卑分脈』などによると、藤原不比等(ふひと)の後裔(こうえい)、大納言(だいなごん)元方の孫である致忠の子で、歌人の保昌(やすまさ)の弟である。正五位下、右馬助(うまのすけ)、右京亮(すけ)、右兵衛尉(うひょうえのじょう)となる。最後に捕らえられ、獄中で988年(永延2)6月17日、自害の傷によって死去する。

[芳井敬郎]

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