西ドイツ=ソ連条約(読み)にしドイツ=ソれんじょうやく(その他表記)West German-USSR Pact

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西ドイツ=ソ連条約」の意味・わかりやすい解説

西ドイツ=ソ連条約
にしドイツ=ソれんじょうやく
West German-USSR Pact

1970年8月 12日モスクワで調印され,72年6月3日発効した西ドイツとソ連間の条約。正式名称は「西ドイツ,ソ連間の武力不行使条約」。略して独ソ条約あるいはモスクワ条約ともいう。前文と5ヵ条から成る本文のほか,両ドイツ一体性に関する西ドイツ外相からソ連外相への書簡 (シェール書簡) ,同条約がドイツおよびベルリンに関するアメリカ,イギリス,フランス,ソ連4ヵ国の権利,義務に抵触しないという西ドイツの口上書,および両国の協力関係を促進するという一般的意図宣言が付属している。条約はヨーロッパの現状の確認と尊重,相互の武力不行使,現国境線の確認,両国が以前に調印した条約の義務を拘束しないことなどを規定。なお条約の成立にはベルリン問題の規制を前提とするという了解があり,そのため調印から発効に2年間を要し,ベルリンに関する四大国協定 (1971.9.3.調印) および東西ドイツ一般通行協定 (72.5.26.調印) の成立をまって,いずれも同日に発効。同条約は西ドイツの一連の東方条約成立の出発点となるもので,1970年代のヨーロッパの緊張緩和を象徴している (→東方政策 ) 。

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