アイルランドの劇作家J・M・シングの三幕喜劇(あるいは悲喜劇)。1907年初演。場面はアイルランド北西の荒涼たる海岸の酒場。甲斐性(かいしょう)なしとののしられて父親を殴り倒して家出してきた若い男が、そのほら話から村の連中に妙に英雄視され、酒場の娘にほれられ、自信をつけていい気になる。ところが、殺したと思った父親が現れ、また打ち倒すと、今度は幻滅を感じた村の者に嫌がられ、結局蘇生(そせい)した父親と肩を組んで出て行く。と、また、酒場の娘は「西の国のたった1人のプレイボーイがいなくなった」と嘆く。民衆の活気あふれる生活と人情を描いたシングの代表作。
[菅 泰男]
『山本修二訳『西国の伊達男』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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