日本大百科全書(ニッポニカ) 「西塚泰美」の意味・わかりやすい解説
西塚泰美
にしづかやすとみ
(1932―2004)
生化学者。愛知県生まれ。1957年(昭和32)京都大学医学部を卒業し、同校の助手、助教授を経て、1969年神戸大学医学部教授となる。1977年にウシの脳から新酵素のプロテインキナーゼCを発見し、外部からの信号を細胞に伝達する機構解明の糸口を開いた。1985年「ホルモン及び神経伝達物質の作用機構に関する研究」で朝日賞、1986年「ホルモン作用における情報の受容伝達機構に関する研究」で日本学士院賞を受賞する。細胞の応答機構の解明は先駆的な研究として世界的に高く評価された。1987年文化功労者、1988年アメリカ科学アカデミー外国人会員となった。ほかにイギリス王立協会、フランス科学アカデミーの各外国人会員。1988年に文化勲章を受章。1989年にはアメリカ医学会の最高賞であるラスカー賞を受賞した。1995~2001年(平成7~13)神戸大学学長。同大学名誉教授。
[編集部]
『田中千賀子・西塚泰美編『生体における情報伝達』(1993・南江堂)』