国指定史跡ガイド 「西芳寺庭園」の解説
さいほうじていえん【西芳寺庭園】
京都府京都市西京区松尾神ヶ谷町にある庭園。西芳寺は、奈良時代に行基(ぎょうき)によって開かれたと伝えられる臨済宗の古刹。近くにある松尾(まつのお)大社の宮司、藤原親秀(ちかひで)が、1339年(暦応2)に当時の高僧で作庭の名手、夢窓疎石(むそうそせき)を招き、荒れ果てていた寺を禅寺として再興した。もとの寺名の「西方寺」は西方極楽浄土の教主である阿弥陀如来を祀る寺にふさわしい名称だが、疎石はこれを「西芳寺」と改めた。「西芳」は禅宗の初祖、達磨に関する句に由来するという。約120種の苔が境内を覆い、緑のじゅうたんを敷きつめたような美しさから苔寺(こけでら)とも呼ばれる。庭園は上下2段構えで上段は枯山水、下段は池泉回遊式になっており、黄金池は「心」の字をかたどっている。幕末に岩倉具視(いわくらともみ)が隠れ住んだ庭園内の茶室「湘南亭」は重要文化財に指定されている。1923年(大正12)に国の史跡・名勝に指定されて、1952年(昭和27)に特別名勝の追加指定を受けた。1994年(平成6)には「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された。JR東海道新幹線ほか京都駅から京都バス「苔寺」下車、徒歩すぐ。