覆・被・掩・蓋・蔽(読み)おおう

精選版 日本国語大辞典 「覆・被・掩・蓋・蔽」の意味・読み・例文・類語

おお・う おほふ【覆・被・掩・蓋・蔽】

〘他ワ五(ハ四)〙
① 全体に広がりかぶさってつつむ。おう。
(イ) (雪、雲、かすみなどが)かぶさる。また、かぶさって隠す。
万葉(8C後)一七・三九二三「天(あめ)の下すでに於保比(オホヒ)て降る雪の光を見れば貴くもあるか」
※枕(10C終)一五一「頭はあまそぎなるちごの、目に髪のおほへるをかきはやらで」
(ロ) 草、虫などがふえ広がる。また、ふえ広がって下のものを見えなくする。
書紀(720)皇極二年七月(岩崎本訓)「茨田の池の水大きに(くさ)りて、小さき虫水に覆(オホヘ)り」
② 下の物が隠れるように、上に物をかぶせる。また、物の口などを手や蓋でふさぐ。おう。
※万葉(8C後)二・九三「玉くしげ覆(おほふ)をやすみあけて行なば君が名はあれどわが名し惜しも」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「急に袖で口を掩ひ」
③ (徳、威勢名声などを)広く行きわたらせる。また、全体に力を及ぼす。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八「西のかた流沙を越えて、遂に妙楽の域を荒(オホヒ)、東のかた海に漸(い)りて掩(おほ)きに歓喜の都(みやこ)を有(たも)つ」
④ 本当のことがわからないように、つつみ隠す。
平家(13C前)一〇「小瑕(せうか)をもって其の功をおおふ事なかれ」
星座(1922)〈有島武郎〉「軽薄な手段をめぐらしてその非を蔽ひ」
⑤ すべてをつつみ含む。また、説明し尽くす。
※火の柱(1904)〈木下尚江〉二九「社会主義とは何ですか、一言に掩へば神の御心です」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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