日本大百科全書(ニッポニカ)「規制改革会議」の解説
規制改革会議
きせいかいかくかいぎ
経済成長を妨げているさまざまな公的規制のあり方について調査・審議する内閣総理大臣の諮問機関。構造改革を進めるために必要な規制緩和策について提言することをおもな任務とする。内閣府設置法第37条第2項に基づき内閣府に設置され、設置期間は政令で定める。1995年(平成7)、村山富市(とみいち)政権下で設置された「行政改革委員会規制緩和小委員会」を組織の原型とし、「規制緩和委員会」「総合規制改革会議」「規制改革・民間開放推進会議」などと名称を変えながら役割を引き継いでいる。民主党政権下では、行政刷新会議規制・制度改革分科会があったものの、事実上廃止された。第二次安倍政権下の2013年(平成25)1月に復活し、農業・医療など既得権益層の抵抗で容易に規制緩和が進まない、いわゆる岩盤規制の緩和・撤廃を強く進める役割を期待されている。議長を含め15人以内の民間経営者や学者らで構成し、中央省庁の個々の規制の必要性や規制緩和効果について審議。関係省庁との調整を経て、ほぼ毎年5~8月に、規制改革について内閣総理大臣に答申する。政府はこの答申を受けて、成長戦略や骨太の方針を決定し、次年度の予算編成や法改正に生かす。
これまでに医薬品の一般小売店での販売解禁、保険商品の銀行窓口での販売解禁、特区の創設、幼稚園と保育園の一体整備、保育サービスの規制緩和、混合診療の拡大、一般住宅に有料で宿泊する「民泊」の解禁などを答申した。専用ホームページで、広く国民や民間企業などから具体的な規制緩和策を募集する試みも行っている。2016年9月に発足した規制改革推進会議は介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」の解禁、転職しやすい雇用規制の緩和などを検討している。
[矢野 武 2017年3月21日]