諭鶴羽山・諭鶴羽神社(読み)ゆづるはさん・ゆづるはじんじや

日本歴史地名大系 「諭鶴羽山・諭鶴羽神社」の解説

諭鶴羽山・諭鶴羽神社
ゆづるはさん・ゆづるはじんじや

[現在地名]南淡町灘黒岩

淡路島南部に諭鶴羽山系がほぼ東西に横たわる。ユズリハが多く自生するところから名がついたともいう。その最高峰諭鶴羽山(六〇八・三メートル)山頂近く、南東面に紀淡海峡を見下ろす地にある。江戸時代末までは諭鶴羽権現・諭鶴羽山権現とよばれた修験道の霊地。旧郷社。祭神は社記によると伊弉冊尊・早玉之男神・事解男神。しかし康正二年(一四五六)の諭鶴羽山註文事(護国寺文書)には証誠大菩薩(本地阿弥陀如来)・両所権現(本地薬師如来)若宮王子(本地十一面観音)以下摂末社の神々とその本地仏が記載されている。

〔熊野修験道との関係〕

創建の時期は不詳。諭鶴羽大権現其外所々縁起(兵庫県神社誌)には、神武天皇二五年に諭鶴羽大権現はマカダ国(インド)から鶴の羽車に乗って諭鶴羽の峰に遷座し、さらに紀伊国藤代ふじしろ、崇神天皇一六年に紀伊国熊野本宮、欽明天皇三一年に豊前国英彦ひこ山、推古天皇元年に出羽国の羽黒はぐろ山、霊亀元年(七一五)には熊野那智なち山、さらに年月不明であるが越中国のたて(立山)へと、それぞれ移っていったと記されている。これら諭鶴羽大権現が遷座したとされる地はすべて山岳信仰・修験道の霊地で、諭鶴羽山もその主要な一つであった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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