讃嘆(読み)さんたん

精選版 日本国語大辞典 「讃嘆」の意味・読み・例文・類語

さん‐たん【賛嘆・讚歎・讚嘆】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 感心してほめること。感嘆して称賛すること。
    1. [初出の実例]「乃彼鄙人之意彌増妻之情而作斯歌嘆美㒵也」(出典:万葉集(8C後)一六・三八〇八・左注)
    2. 「流石の賊も『此者(こいつ)面魂を見ろ』と讚嘆したと云ふ」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉二)
    3. [その他の文献]〔隋煬帝‐重与知者請義書〕
  3. ( 讚歎 ) ( 「さんだん」と濁る ) 仏語。
    1. (イ) ( ━する ) 偈(げ)を唱えて仏徳をほめたたえること。
      1. [初出の実例]「まさに心をいたして、阿難が恩を思て名をとなへ供養し讚歎すべし」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
      2. [その他の文献]〔大智度論‐三〇〕
    2. (ロ) 平安初期から行なわれた、国語による仏教讚歌。法華讚歎、百石(ももさか)讚歎、舎利讚歎など。前二者は和歌の体。
      1. [初出の実例]「薪を荷て迴(めぐる)讚歎の詞云」(出典:観智院本三宝絵(984)中)

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改訂新版 世界大百科事典 「讃嘆」の意味・わかりやすい解説

讃嘆 (さんだん)

声明曲(しようみようきよく)の分類名。漢語讃梵語讃に対して和語でつづった讃美曲をいう。単に讃というときは前2者を指し,この讃嘆は通常含まない。《法華讃嘆》と《舎利讃嘆》が有名である。前者は〈薪ノ句(たきぎのく)〉とも称し,〈法華経を,わが得しことは……〉という詞章で,短歌形式の末句だけ2度繰り返す形式をとり,〈法華八講(ほつけはつこう)〉の五ノ座に用いる。後者は〈仏のおん舎利は遭ふこと難しや……〉という散文形式の詞章で,〈舎利講式〉に唱える。なお,讃嘆と混同されるおそれのあるものに和讃がある。和讃の詞章は七五調4句を1節としてつづられ,詩形だけでなく曲節の形式も讃や讃嘆とは別なので,別種の声明曲と考えたほうがよい。
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