貞観津波(読み)じょうがんつなみ

百科事典マイペディア 「貞観津波」の意味・わかりやすい解説

貞観津波【じょうがんつなみ】

平安時代の貞観11年(西暦869年)に陸奥国多賀城を襲ったとされる巨大津波。三陸沖で発生した地震規模はマグニチュード8.3以上と推定される巨大地震であった。平安時代の正史《日本三代実録》に記録が残る。この津波に注目してきた地質学者・地震学者たちの研究が存在するにもかかわらずそれらが防災に活かされないまま,2011年3月の東日本大震災福島第一原発事故が起こったことで,古代のこの津波が一般にも関心が持たれるようになった。すでに1990年に東北大学の箕浦教授らによる仙台市や福島県相馬市の調査研究で,内陸奥深くに津波の痕跡(こんせき)を示す堆積物が分布していることが報告されている。報告を踏まえて東北電力は調査研究を進め,自社の女川原発に関して防潮堤高度などの津波・地震対策を施した。東京電力と経産省原子力安全・保安院は,貞観津波の調査研究を一切無視していたことが,福島第一原発事故後明らかとなり批判された。→地震考古学
→関連項目女川原発

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