恵運(読み)エウン

デジタル大辞泉 「恵運」の意味・読み・例文・類語

えうん〔ヱウン〕【恵運】

[798~869]平安前期の真言宗の僧。山城の人。承和9年(842)入唐し、青竜寺義真から灌頂かんじょうを受け、経典仏像などを請来しょうらい。のち、安祥寺を開き、安祥寺僧都そうずと称された。

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精選版 日本国語大辞典 「恵運」の意味・読み・例文・類語

えうんヱウン【恵運】

  1. 平安前期の真言宗の僧。入唐八家一人。姓は安曇(あずみ)氏。唐に渡り青龍寺義真に学んで帰り、安祥寺を開いて安祥寺僧都と呼ばれる。著に「菩提心戒儀」「金剛界要記」。延暦一七~貞観一一年(七九八‐八六九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「恵運」の意味・わかりやすい解説

恵運
えうん
(798―869)

平安前期の真言宗の僧。京都出身。入唐八家(にっとうはっけ)(唐代の中国に渡って密教を学び、日本に伝えた8人の高僧。最澄、空海、常暁、円行、円仁、恵運、円珍、宗叡(しゅうえい))の一人。848年(嘉祥1)仁明(にんみょう)天皇が皇太后のため山科(やましな)(京都府)に安祥寺(あんしょうじ)を建立、師を住持としたことから、安祥寺僧都(そうず)とも称せられる。東大寺で出家して法相(ほっそう)宗を学び、東寺(教王護国寺)で実慧(じちえ)から真言を学び灌頂(かんじょう)を受けた。838年(承和5。一説に承和9年)入唐し、長安(西安)の青龍寺(せいりゅうじ)義真(ぎしん)から密教の奥義(おうぎ)を受け、847年に帰朝。密教の経軌(きょうき)など200余巻を請来(しょうらい)し上進した。864年(貞観6)少僧都(しょうそうず)に任じ、年分度者(年に許可される一定の得度者)受戒制度の廃止を防止した。869年(貞観11)東大寺別当に補任(ぶにん)。同年(一説に貞観13年)9月23日寂した。

[平井宥慶 2017年5月19日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「恵運」の解説

恵運 えうん

798-869 平安時代前期の僧。
延暦(えんりゃく)17年生まれ。真言宗。入唐(にっとう)八家のひとり。東寺の実恵(じちえ)に灌頂(かんじょう)をうける。承和(じょうわ)9年唐(中国)にいき青竜寺の義真に灌頂をうけ,経典,仏具などをもちかえる。嘉祥(かしょう)元年京都安祥(あんじょう)寺をひらく。貞観(じょうがん)3年東大寺大仏修理落慶供養の導師。6年少僧都(しょうそうず)。貞観11年9月23日死去。72歳。京都出身。俗姓は安曇(あずみ)。通称は安祥寺僧都。

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朝日日本歴史人物事典 「恵運」の解説

恵運

没年:貞観11.9.23(869.10.31)
生年:延暦17(798)
平安初期の真言宗の僧で入唐八家のひとり。山城国(京都府の南部)生まれ。初め東大寺に学んだが,のち空海の高弟だった実慧の弟子となり密教を修学。承和9(842)年唐に留学し,長安青竜寺の義真に就く。会昌の廃仏という難局下,五台山や天台山を巡礼し,多数の経典・仏像・仏具などを持って同14年に帰国。藤原順子皇太后の帰依あつく,その命により嘉祥1(848)年山科に安祥寺を創建した。<参考文献>上田進城『山科安祥寺誌』

(正木晃)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「恵運」の意味・わかりやすい解説

恵運
えうん

[生]延暦17(798)
[没]貞観11(869).山城
平安時代の真言宗の僧。入唐八家の一人。承和9 (842) 年入唐し,経軌二百余巻を持ち6年後帰国した。

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世界大百科事典(旧版)内の恵運の言及

【請来目録】より

…円仁(838‐847年在唐)は長安,五台山,揚州の各地で求得した聖教類802巻,曼荼羅,図像,高僧像などを列記した総目録と,2種の揚州の目録を作成している。恵運(842‐847年在唐)は温州,五台山,長安に赴き220巻の経典(そのうち76巻は新請来)をもたらしている。円珍(853‐858年在唐)には長安,天台山で求得した772巻の経典,梵夾,法具などの〈国清寺求法目録〉,福州から台州の間に求得した経典,外書を記載した〈福州温州台州求得目録〉,福州開元寺で求得した156巻の経典,梵夾の目録,青竜寺で求得した経典115巻,曼荼羅,法具の目録で師法全の証明の加えられている〈青竜寺求法目録〉の4種のほか,これらを網羅して計1000巻,法具16種を記載した総目録の5通があり,いずれも原本が園城寺に伝えられる。…

※「恵運」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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