地震考古学(読み)じしんこうこがく

  • じしんこうこがく〔ヂシンカウコガク〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

遺跡発掘調査増大に伴い,過去の地震痕跡が多数検出されていることに着目し,考古学・地震学両分野を結ぶものとして寒川旭が提唱している。火山噴火風水害痕跡を探る一連の災害考古学の中でも,特に代表的なもの。従来過去の地震の研究は,古文書活断層の分析に限定されていたが,遺跡より得られる多数のデータを加えることにより,資料数が飛躍的に増大した。特に近年関心が高い地盤液状化現象のメカニズム解析には,遺跡に残された噴砂痕跡が多くの情報をもたらしている。また遺跡の地震痕跡は,伴した遺物の編年から地震発生の大まかな年代を知ることが可能で,特に文献記録上の地震と対応が可能な場合は,逆に遺構や遺物の年,月,日時に及ぶ絶対年代の把握が可能となるなど,相互に大きな成果が期待できる。

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デジタル大辞泉の解説

考古遺跡にみられる地割れ地滑り液状化など、地震に関わる痕跡を調査する地震学と考古学を合わせた学問分野。近代的な観測機器がなかった時代に起きた古地震の規模や発生間隔などを探り、今後起こり得る地震の予測に役立てられる。

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百科事典マイペディアの解説

遺跡の変形,断層跡,液状化跡,地すべり跡など過去の地震跡の地質学的研究と考古学的資料とを統一的にとらえる新しい研究分野。遺跡の年代決定や集落消滅湖底遺跡解明などの環境復元に役立つほか,活断層に沿ってかなり周期的に起きている地震跡の研究などは,地震予知にも役立つものと期待されている。また大地震にともなって起きた大津波についても研究されており,2011年3月の福島第一原発事故について,事故後,869年(貞観11年)の三陸地方に大きな被害をもたらしたと推定される貞観津波(じょうがんつなみ )の調査がすでに80年代から東北大学箕浦幸治教授らによって発表され,さらに数値シミュレーションの研究も産業技術研究所の行谷佑一らによって提出されていたことが広く知られるようになった。しかし,こうした研究者たちによる警鐘は事前の対策には一部を除いて活かされることはなく,改めて国および電力会社の無責任な対応が問われている。

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世界大百科事典 第2版の解説

日本は世界有数の地震国で,人々の居住の歴史も古い。そのため,過去の生活の場に地震の痕跡が多く残されているはずである。そして,遺跡内で地震跡が発見されると,地震の時期,被害の特徴,人々の生活への影響などについてさまざまな角度から検討できる。このような視点で1988年に提唱された地震考古学は,考古学の発掘現場に顔をのぞかせた地震の痕跡を,総合的に研究する分野である。発掘調査の過程で,液状化跡や地割れ跡などの地震の痕跡が見つかると,遺構や遺物との前後関係から地震の時期をしぼりこめる。

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