改訂新版 世界大百科事典 「賀茂競馬」の意味・わかりやすい解説
賀茂競馬 (かものけいば)
京都市北区上賀茂鎮座の賀茂別雷(わけいかずち)神社で行われる5月5日の競馬神事。〈かものくらべうま〉ともいう。1093年(寛治7),堀河天皇の勅願により,天下泰平・五穀豊穣を祈願して,毎年5月5日の節日に武徳殿で衛府官人の奉仕してきた競馬会の宮廷行事を当社に移し始められたという。神社境内の一の鳥居の西から二の鳥居までの芝生の内で行われ,馬場本の桜は出馬の木,馬場末のカエデを勝負決定の木とした。この競馬は,まず5月1日に出場する20頭の馬が集まり,浄衣姿の乗尻(のりじり)(騎手)が走らせて,その遅速を調べ,左右の組合せ順番を決める足揃(あしぞろい)の儀がある。5日に20人の乗尻は赤衣・褐衣の競馬装束を身につけ,腰に菖蒲(しようぶ)をまいて神前に進み,祭儀ののち退下して馬場に入り,左方右方10人ずつに分かれて競馬が始まる。1番は空走(すばしり)といい,右方の先馬,左方の追馬とし,追馬が勝つのを例とする。2番以降は遅速を競い,勝者には禄として白絹を賜る。
執筆者:岡田 荘司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報