資本の集積・集中(読み)しほんのしゅうせきしゅうちゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

資本の集積・集中
しほんのしゅうせきしゅうちゅう
concentration and centralization of capital英語
Konzentration und Zentralisation des Kapitalsドイツ語

資本の集積とは、個別資本のもとで獲得した剰余価値を資本へ追加することによる資本価値の増大であり、生産手段と労働力の集積、およびそれに伴う労働者への指揮を意味し、資本蓄積の別の表現である。一般的には資本の集積の増大は資本の蓄積を増進するが、資本家財産の相続における分割の場合や、あるいは剰余価値がもとの資本から分離して独立の新たな個別資本として機能する場合には、資本家数が増大し資本蓄積は分散する形で集積される。しかし、これら以外は、資本の集積は社会的資本の蓄積によって制約される。資本の集中とは、二つ以上の資本がそれぞれの自立性を失い結合あるいは合併・吸収することによる資本価値の増大である。それは資本家による資本家の収奪であり、多数小資本の少数大資本への吸収促進であって、蓄積や集積とは異なって社会的資本の蓄積の限界によって制限されることはない。
 このように集積と集中には明確な区別があるが、社会的蓄積過程においては、資本の蓄積を基礎として資本の集中がおこり、この集中によって集積が促進されるというように、両者は作用しあう。そして資本の集積と集中いずれにおいても、競争と信用がその進展のもっとも有力な槓杆(こうかん)として役だつ。またそれは、資本の動員をおこさせ、株式会社制度の展開を促進させ、株式持合いの支配集中にまで至らせる。さらに資本の集積と集中の相互規定的進行は、個別資本の巨大化、市場集中度の高度化をもたらし、高い参入障壁を形成させ、少数巨大資本の独占的市場支配を可能にして独占化の傾向を招来している。[海道勝稔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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