超越論的(読み)チョウエツロンテキ(その他表記)transzendental ドイツ語

デジタル大辞泉 「超越論的」の意味・読み・例文・類語

ちょうえつろん‐てき〔テウヱツロン‐〕【超越論的】

[形動]先験的

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精選版 日本国語大辞典 「超越論的」の意味・読み・例文・類語

ちょうえつろん‐てきテウヱツ‥【超越論的】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( [ドイツ語] transzendental訳語 ) カント哲学で、個々対象に直接かかわるのではなく、それらをこえた見地から、認識を成立させる主観の側の先天的な諸条件を問題にするあり方。先験的。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「超越論的」の意味・わかりやすい解説

超越論的
ちょうえつろんてき
transzendental ドイツ語

本来超越」に由来する語で、中世スコラ哲学では、「一」とか「真」とか「善」は、個々の述語やカテゴリーを超えた超越論的概念transzendentaliaとされ、ドゥンス・スコトゥスはそのなかでも「存在」がもっとも普遍的で根源的な超越論的概念であるとした。

 ところで、「超越論的」という語にそれまでとまったく異なった特殊な意義を与えたのがカントであって、カントは、経験的事物の認識ではなくて、そうした事物の認識を可能にする条件についての認識を超越論的とよび、経験の対象とはならない理念についての思弁的な超越的(もしくは超絶的transzendent)認識から区別した。つまり「超越論的」とは、経験を越えて、経験に先だって経験の成立条件を問う際に成立する認識という意味であり、その意味をくんで「先験的」と訳されることもある。

[宇都宮芳明]

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