躍・踊・跳(読み)おどる

精選版 日本国語大辞典 「躍・踊・跳」の意味・読み・例文・類語

おど・る をどる【躍・踊・跳】

〘自ラ五(四)〙
① はねあがる。とびはねる。跳躍する。
万葉(8C後)五・九〇四「たまきはる 命絶えぬれ 立ち乎杼利(ヲドリ) 足摩(す)り叫び 伏し仰ぎ 胸うち嘆き」
② 激しく揺れ動く。また、すばやく動く。
書紀(720)仁徳一一年一〇月(前田本訓)「匏、浪上にして転(ま)ひつつ沈まず。則ち、(とくすみやか)に汎(うきヲトリ)つつ遠く流る」
※かのやうに(1912)〈森鴎外〉「日光の差し込んでゐる処の空気〈略〉その中には細かい塵が躍(ヲド)ってゐる」
③ (音楽に合わせて)手足、からだを動かし、身ぶり、手ぶりをしながら、リズムに合った動作をする。舞踊をする。特に、俳諧では、盆踊りについて用いられる。→躍(おどり)②。
教訓抄(1233)五「此急に有踊事。多氏には五度踊。大神舞人は三度踊也」
※俳諧・文政句帖‐五年(1822)七月「六十年踊る夜もなく過しけり」
④ 喜び、驚き、期待、緊張などで胸がどきどきする。動悸(どうき)がはげしくなる。また、心や感情が高揚する。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「起上(たちあが)りは起上ったが、据ゑた胸も率(いざ)となれば躍る」
借金利息が二重となる。おどり(ぶ)となる。
浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「借銭の利を一月に二月をどる松坂越へて」
⑥ 重なり加わる。二重になる。倍になる。「芸子が挨拶に行くと花代がおどる」
⑦ 自分の意志からではなく、他人にあやつられて行動する。他人にのせられて動く。
※ブウランジェ将軍の悲劇(1935‐36)〈大仏次郎〉この一戦「ブウランジストのお手のものの華やかな言葉も人が踊らなくなって見れば、反って効果を裏切るのだ」
⑧ (文字などが)乱れている。「字がおどっている」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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