躍・踊(読み)おどり

精選版 日本国語大辞典 「躍・踊」の意味・読み・例文・類語

おどり をどり【躍・踊】

〘名〙 (動詞「おどる(躍)」の連用形の名詞化)
① はねあがること。とびはねること。跳躍
② (音楽にあわせて)手足、からだを動かし、身ぶり、手ぶりをしながら、リズムにあった動作をすること。また、その動作。舞踊舞踏。特に、俳諧では、盆踊りを指し、秋の季語。《季・秋》
※看聞御記‐永享四年(1432)七月一六日「若男共異形風情、跳有其興
③ 「おどりうた(踊歌)」の略。
※加生宛芭蕉書簡‐元祿三年(1690)九月一三日「おどり、くどき、早物語のたぐひに御ざ候」
動悸(どうき)がすること。胸がどきどきすること。
浄瑠璃・曾我扇八景(1711頃)紋尽し「もはやきづかひなけれども、むねのをどりはまだやまず」
乳幼児の前頭部の骨と骨との間がまだ接合していない部分。ひよめき。おどりこ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑥ (江戸時代、貸金業者が一、二か月または四、五か月間の短期間融資の場合、返済期日をその月の晦日(みそか)としないで二五日限りとし、これに遅れた場合は二五日以後月末までの分としてさらに一か月分の利子をとったことによる) 借金の利子が二重となること。おどり歩(ぶ)。月おどり。
滑稽本・古朽木(1780)四「躍(ヲドリ)利足は」
芸妓が二重に花代を得ること。
※わが新開地(1922)〈村島帰之〉「夫れにオドリと称し重複して花代を取得する事が二時間位あると仮定して」
⑧ 「おどりぐい(躍食)」の略。
※夢の超特急(1963)〈梶山季之〉四「オドリというのは、寿司屋の符丁で、生きたエビのことである」

おどら・す をどらす【躍・踊】

〘他サ五(四)〙
① 踊りをさせる。舞をまわせる。
※交隣須知(18C中か)三「一寸ホウニ ヲドリヲ ヲドラシテ ミレハ」
② (「身をおどらす」の形で) あるものから勢いよくからだを離す。また、はげしくからだを動かす。
※春の鳥(1904)〈国木田独歩〉四「鳥のやうに空を翔(か)け廻る積りで石垣の角から身を躍らしたものと」
③ (「胸(心)をおどらす」の形で) 驚き、喜び、期待などでわくわくする。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
④ 人を手先として行動させる。
※第3ブラリひょうたん(1951)〈高田保〉真実のための平和「学者たちのこういう平和運動を、共産党に躍らされているなどと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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