賃借人が賃借目的物の全部または一部を第三者(転借人)に使用収益させる契約。賃借人と転借人との間では契約はつねに有効に成立するが、賃貸人と賃借人との間の法律関係および賃貸人と転借人との間の法律関係は、賃貸人の承諾の有無によって定まる。賃貸人の承諾のない転貸(無断転貸)の場合、賃貸人は賃借人に対して契約を解除することができるというのが民法の規定である(民法612条)が、借地・借家の場合には、無断転貸を理由に契約を解除しうるためには、それが背信行為(信頼関係を破壊するような行為)にあたることを必要とする、というのが判例である。賃貸人と転借人との間では、無断転貸が背信行為として賃借人が契約を解除されると、転貸借はその基礎を失い、したがって、転借人は使用収益権を賃貸人に対抗できない。これに対して、賃貸人の承諾のある転貸の場合には、賃貸人と賃借人との間の賃貸借はそのまま有効に存続する。賃貸人と転借人との間では、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う。したがって、転借人は、賃貸人に対して、目的物の保管義務、目的物の返還義務(賃貸借終了時)、賃料の支払い義務などを負う。
[淡路剛久]
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