日本大百科全書(ニッポニカ) 「農業経営構造対策」の意味・わかりやすい解説
農業経営構造対策
のうぎょうけいえいこうぞうたいさく
深刻化する農業の担い手不足を解決し、地域農業を維持・発展させていくために、地域の合意をもとに地域農業の担い手となる経営体の確保・育成を行うことを目的とした国庫補助事業。食料・農業・農村基本法(新農業基本法)が1999年(平成11)制定されたのに伴い、それまでの農業基本法に基づく農業構造改善事業にかわるものとして2000年から実施されることになった事業で、とくに経営体育成に重点を置いている。
この事業は、地域の農業関係者の合意の形成や認定農業者(今後地域農業の担い手となると市町村が認定した農業者)の育成、認定農業者への農地利用集積、耕作放棄地の解消などの目標づくり、またその目標を達成するための計画づくりなどを支援する経営構造対策推進事業(ソフト事業)と、合意に基づいた目標を達成し、地域農業を発展させるために必要な土地基盤、施設等の整備を支援する経営構造対策事業(ハード事業)とからなる。この導入に際しては費用対効果が算出され、厳しい事業評価をすることにしている。
こうした担い手対策はいま緊急に必要とされていることであるが、単純な費用対効果の算出で事業の成果が判断できるのか、農産物の輸入激増対策や価格・所得政策が後退しつつあるなかで十分な成果があげられるのかなどの疑問も提起されている。
[酒井惇一]