辻噺(読み)つじばなし

精選版 日本国語大辞典 「辻噺」の意味・読み・例文・類語

つじ‐ばなし【辻噺】

  1. 〘 名詞 〙 町の辻や社寺境内などで、滑稽な笑い話などを聞かせて銭を得ること。また、その話。落語小咄の始まりをなすもの。
    1. [初出の実例]「尻もかしらも扣く蚊もだへ 振廻のほきほき酔に辻咄〈紫雫〉」(出典:俳諧・末若葉(1697)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「辻噺」の意味・わかりやすい解説

辻咄/辻噺 (つじばなし)

江戸時代に野天で聴かせた落語。仏教界の辻説法が芸能化したもので,元禄(1688-1704)のころには辻談義(談義説法説教異称)といっていた。各務(かがみ)支考の《本朝文鑑》辻談義説の条に京都の噺家の露の五郎兵衛について〈世ニ云フ辻噺ノ元祖ナリト〉とある。寺社縁日,涼み場,夜店など人が大勢来る場所に席を設けて咄をした。この方法は寄席興行が確立するまで行われていた。
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世界大百科事典(旧版)内の辻噺の言及

【落語】より

…日本の大衆芸能の一種。滑稽なはなしで聴衆を笑わせ,終りに落ちをつける話芸。演出法は,落語家が扇子と手ぬぐいを小道具に使用し,講談や浪曲(浪花節)のような叙述のことばを省略して,会話と動作によってはなしを展開する。はじめは,単に〈はなし〉といわれ,この言いかたは,現在も〈はなしを聴きに行く〉とか,〈はなし家〉とかいうように残っているが,天和・貞享(1681‐88)以後は,上方を中心に,〈軽口(かるくち)〉〈軽口ばなし〉などと呼ばれ,この上方的呼称である〈軽口〉時代が,上方文学の衰退期である明和・安永(1764‐81)ごろで終わり,文学の中心が主として江戸に移って,江戸小咄時代になると,もっぱら〈落(おと)し咄〉というようになった。…

※「辻噺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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