辻説法(読み)ツジセッポウ

デジタル大辞泉 「辻説法」の意味・読み・例文・類語

つじ‐せっぽう〔‐セツポフ〕【×辻説法】

道ばたに立ち、通行人相手説法すること。

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精選版 日本国語大辞典 「辻説法」の意味・読み・例文・類語

つじ‐せっぽう‥セッポフ【辻説法】

  1. 〘 名詞 〙 道ばたに立って往来の人にする説法。
    1. [初出の実例]「日蓮宗の僧日常が茲(ここ)留錫(りうしゃく)して辻説法(ツジセッパフ)を始めたので」(出典江戸から東京へ(1922)〈矢田挿雲〉七)

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改訂新版 世界大百科事典 「辻説法」の意味・わかりやすい解説

辻説法 (つじせっぽう)

路傍で道行く人に説法すること。辻談義ともいう。現代でいえば街頭布教にあたる。古代中世には〈辻説法〉の語はみられない。僧侶伝記絵巻などにも屋内説法の図はみられるが,屋外説法の図はない。近世になると,《信長公記》や仮名草子,さらに近松門左衛門の作品などに辻談義,辻談義僧があらわれる。これらは道行く人に説法して金銭をうけており,芸能化の傾向を示している。日蓮の辻説法は著名であるが,その事実は確認できず,16世紀に作られた日蓮の伝絵にもみえない。近世末期日蓮宗で,〈繰(く)り弁〉と称して日蓮の伝記などを独特な口調で語る説法が行われ,このなかに辻説法のことがみえてくる。明治時代に日蓮独特の布教法として強調され,田中智学鎌倉小町にその顕彰碑を立て,森鷗外に一幕物歌舞伎《日蓮聖人辻説法》(1904初演)があり,日本画家野田九浦は1907年日蓮辻説法の図を描いた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「辻説法」の意味・わかりやすい解説

辻説法
つじせっぽう

仏教伝道の一方法で、人通りの多い町角(辻)に立って、自分の主張を人々に訴え、信者を獲得すること。鎌倉の大町(おおまち)・小町(こまち)の辻で説法をしたという日蓮(にちれん)の故事は有名である。仏教が民衆化を果たした中世以来の伝道方法で、とくに天台宗、日蓮宗の僧侶(そうりょ)が行った。自由な布教活動が制限された江戸時代にはまったくみられなかった。

[中尾 尭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「辻説法」の意味・わかりやすい解説

辻説法
つじせっぽう

路傍に立って往来の人々に説法すること。開宗の地,安房国清澄山を追われた日蓮が,鎌倉にいたり,小町の辻に立って辻説法を行なったという話は有名。

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