追込(読み)おいこみ

精選版 日本国語大辞典 「追込」の意味・読み・例文・類語

おい‐こみおひ‥【追込】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一定の場所に人や動物などを追い立てて入れること。追い入れること。追い込むこと。また、そのための場所。
  3. 能狂言トメの一つ。舞台から橋懸(はしがかり)へ逃げて行く者を「やるまいぞ、やるまいぞ」と追いかけて幕にはいるもの。おいこみどめ。
    1. [初出の実例]「やるまいぞやるまいぞといふておいこみにもする」(出典:虎明本狂言・饅頭(室町末‐近世初))
  4. 定数をきめず人を詰めこむこと。一つの場所におおぜいの雑多な客を入れること。また、その場所。料理屋の広間や、浴場の混浴など。
    1. [初出の実例]「追込の長湯はおそれ有馬山」(出典:雑俳・花もん日(1729))
  5. ( 「おいこみば(追込場)」の略 ) 特に劇場などで、観客をつめられるだけつめこむ、低料金の見物席。また、そこにいる観客。おいこみば。おいこみさじき。おおいりば。
    1. [初出の実例]「つゐにゆく道をあけたる小分別 能の畳はかりきり追こみ」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第一〇)
  6. 刑罰の一つ。一定の部屋に入れて出入りを禁ずること。押しこめ。めしこめ。
  7. 下等の遊女。自分の部屋を持たないで、雑居しているところからいう。
    1. [初出の実例]「追込(ヲイコミ)辻君のたぐひは、匂ひ曾(かつ)て定まらず」(出典:俳諧・本朝文選(1706)六・箴類・飲食色欲箴〈許六〉)
  8. 花札で、三人以上で行なうとき、親(胴)、ナカ(胴中)、ビキの三人が勝負に出たので、他の者は出たくても出られなくなること。
  9. 編集・印刷関係で、行またはページを改めないで、前にすぐ続けて活字を組んでいくこと。また、新聞や雑誌で、そのような組み方をする、あまり重要でない記事。べたぐみ。
    1. [初出の実例]「明日のおひこみを三段ばかり工場に廻しといて呉れ給へ」(出典:神経病時代(1917)〈広津和郎〉一)
  10. 相場が下落すること。また、売りたたいて相場を下落させること。
  11. 競争、試験などで、勝敗の決まる最終段階。また、そのときに勢い激しく目標に向かうこと。スポーツから出て広く使われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「追込」の解説

追込

英国の作家ディック・フランシスのミステリー(1976)。原題《In the Frame》。競馬界を舞台にしたシリーズの第15作。

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