透過型電子顕微鏡(読み)トウカガタデンシケンビキョウ

デジタル大辞泉 「透過型電子顕微鏡」の意味・読み・例文・類語

とうかがたでんし‐けんびきょう〔トウクワがたデンシケンビキヤウ〕【透過型電子顕微鏡】

電子顕微鏡の一。試料電子線を照射し、透過した電子線を磁場で屈折する電子レンズを用いて拡大・結像させる。光学顕微鏡に比べ分解能が極めて高く、0.2ナノメートル程度。細胞やウイルス内部の微細構造観察に適している。生体試料は厚さ10~100ナノメートルの乾燥切片にする必要がある。TEMテム(transmission electron microscope)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「透過型電子顕微鏡」の解説

透過型電子顕微鏡
トウカガタデンシケンビキョウ
transmission electron microscope

略称TEM.電子線の電子光学的結像を用いて試料の拡大像を得る電子顕微鏡のうち,もっとも一般的なもの.電子銃から発生した電子線は,集束レンズによって絞られた後,試料を透過して対物レンズで結像される.像は中間レンズによってさらに拡大されたあと,投影レンズで終像面に映し出される.試料を透過した電子線の大部分は直進するが,一部は試料の結晶面によってブラック反射される.前者を用いれば明視野像が得られ,これは試料組織の概略を知るために適しており,透過型電子顕微鏡観察でもっともよく用いられる.一方後者では暗視野像が得られる.これは明視野像に比べてはるかに強度は弱いが,特定の結晶面や局所的な結晶の異常などの観察に適している.分解能は電子線の加速電圧によって決まる.通常,200 kV の加速電圧が使用され,0.1~100 μm の試料や構造を観察するのに適している.日本の電子顕微鏡技術は世界のトップクラスにあり,2000 kV もの加速電圧をもつ超高圧電子顕微鏡が製作されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「透過型電子顕微鏡」の解説

透過型電子顕微鏡

 透過電子顕微鏡透過電顕ともいう.光の代わりに電子線を用いて,高度の拡大を可能にした顕微鏡.電子線が試料を透過することから命名されている.対語走査電子顕微鏡

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android