道徳法則と同義。行為の道徳的基礎であり規範であって、その限りで道徳的原理と実質的に変わらない。ただし、道徳律が何に由来するのか、にはさまざまの考え方があり、したがってその内容はそれぞれにおいて異なる。たとえばモーセの十戒は神によって与えられたものであり、道徳感覚説によれば、一種の特別な感覚がこれを与える。しかし、道徳的原理を法則という形でとらえたのはカントである。法則とよぶのは、それが自然法則同様に普遍妥当的であらねばならぬと考えたからで、ここから、道徳法則のよってきたる根源を、欲望や本能でなく、実践理性そのものであると考えたのである。ただ人間は不完全な存在であるがゆえに、道徳律は彼にとって命令という形で現れる。それは定言的命令であって絶対であるが、普遍妥当性を根拠とするがゆえに形式主義的側面を免れず、カントを受け継ぐ人たちも、具体的内容をこれに与えるべく苦心を重ねた、といえる。
[武村泰男]
顔や四肢に特有の紅斑がみられる疾患で,伝染性紅斑の俗称。パルボウイルスの感染によって年長幼児,低学年児童に好発し,乳児や成人には少ない。1〜2週間の潜伏期ののち突然発疹が出る。発疹は両ほおに対称的に生...