違法賭博(読み)いほうとばく

知恵蔵 「違法賭博」の解説

違法賭博

刑法185~187条の「賭博・富くじに関する罪」(賭博罪)に該当する賭博行為。一般に賭博とは、偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪を争うことをいう。こうした賭博行為により、国民に怠惰浪費の弊風を生じさせる、勤労美風を害する、副次的な犯罪を誘発する、国民経済の機能に重大な損害を与える恐れがあるなどといった場合に処罰の対象となる。ただし、金銭の授受を伴わない、お茶や軽食など「一時の娯楽に供する物」をおごるといった程度の賭け事は処罰の対象とならない。また、公営ギャンブル(競馬、競輪競艇、オートレース)や宝くじ、スポーツ振興くじ(トト)などの富くじ行為は、諸法によって違法性が阻却されている。
一方、野球賭博やバカラ賭博(裏カジノ)などは法律で認められておらず、近年(2015~16年)、現役プロ野球選手の野球賭博への関与、バドミントン日本代表選手の裏カジノへの関与など、スポーツ界の違法賭博行為が大きな社会問題になった。いずれも、暴力団など反社会的勢力の介在が問題視されている。
なお、カジノは欧米の多くの国・州、韓国、シンガポールなどでは合法となっている。現在、国会一定の条件下で認める「統合型リゾート整備推進法案」(通称「IR法案」「カジノ法案」)が審議されているが、反対論・慎重論が根強く、法案成立の見通しは立っていない(2016年5月末時点)。

(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報