アミノ安息香酸(読み)あみのあんそくこうさん(英語表記)aminobenzoic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミノ安息香酸」の意味・わかりやすい解説

アミノ安息香酸
あみのあんそくこうさん
aminobenzoic acid

芳香族アミノ酸の一つ。アミノ基-NH2とカルボキシ基-COOHの置換位置により、o(オルト)、m(メタ)、p(パラ)の3種の異性体があるが、m置換体はさほど重要でない。o置換体はアントラニル酸とよばれる。

山本 学]

p-アミノ安息香酸

抗白毛症因子ともいう。ビタミンB複合体の一つとして天然に存在している。淡黄色の結晶p-ニトロ安息香酸を、鉄と塩酸で還元して得る。水、エタノールエチルアルコール)、エーテル可溶合成染料の中間体となるほか、薬用化粧品、日焼け止めなどの医薬品の合成原料となる。この化合物のエステルには、局所麻酔薬として知られているものが多い。

[山本 学]


アミノ安息香酸(データノート)
あみのあんそくこうさんでーたのーと

p-アミノ安息香酸

 分子式  C7H7NO2
 分子量  137.14
 融点   187~187.5℃
 溶解度  0.3g/100ml(水13℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アミノ安息香酸」の意味・わかりやすい解説

アミノ安息香酸
アミノあんそくこうさん
amino benzoic acid

化学式 C6H4(NH2)(COOH) 。置換基の相互位置によって次の3異性体がある。 (1) o -アミノ安息香酸 アントラニル酸別称。 (2) m -アミノ安息香酸 融点 174℃。冷水に難溶,エチルアルコール,エーテルに可溶。染色中間体として利用できる。 (3) p -アミノ安息香酸 微生物の成長に必要な因子。ビタミンB 群の一員として知られ,葉酸の構成成分である。融点 186~187℃の結晶。水,エチルアルコール,エーテルに可溶。ネズミにビタミンB群欠乏食を与えるとき現れる毛髪の灰色化を防止するので,ネズミの抗白毛症因子と呼ばれる。また乳酸菌の発育に必要なことから,その発育因子ビタミン Bx とかビタミン H' とも呼ばれたことがある。工業的には染料中間体となる。

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