翻訳|casino
スロットマシンやルーレットを備えた賭博場。約130カ国で公認されており、米ラスベガス、マカオなどが有名。日本では競馬や競輪といった公営競技を除き賭博が禁じられているため、設置には法整備が必要だ。将来の解禁を見据え、北海道、横浜市、大阪府、長崎県などで誘致の動きがある。自民党と維新の党、次世代の党は4月、合法化を目指し「統合型リゾート施設整備推進法案」を衆院に提出した。ただ、公明党が審議入りに難色を示し、成立は見通せていない。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
バカラ、ブラックジャック、ルーレット、スロットマシンなど、室内における(一定ルールの)ギャンブリング(賭博(とばく))を提供する場所をさす。もともとはイタリア語で小さな家を意味する「カサcasa」から派生したことばで、欧米では「ジ」と濁らず「カシノ」と発音することが多い。日本でもIR推進法(2016)やIR実施法(2021)の施行により、2030年ころには大阪を手始めにカジノ事業がスタートするものと思われる。
18世紀から19世紀にかけて、イタリア、ドイツ、フランスなどヨーロッパの国々、とくにその観光地・保養地において、社交的な目的も含めてカジノが設置されていたが、20世紀を迎える前に(一部の国を除き)その多くが禁止された。現在はふたたび合法化した国が多いが、ヨーロッパのカジノの多くは小規模なものである。
アメリカでは1931年にネバダ州、1976年にニュージャージー州でカジノが合法化され、その後1980年代後半から多くの州で合法化が進んだ。その背景として、ネイティブ・アメリカンの経済的自立と発展などを目的に1988年に連邦法として成立した「アメリカインディアン・ゲーミング規制法(IGRA:Indian Gaming Regulatory Act)」により、ネイティブ・アメリカンの自治区で比較的容易にカジノをスタートできたこと、またコントロールしやすい船上カジノなどを合法化した州がいくつかあったことなどがある。
カジノといえばバカラやルーレットなどのカジノディーラーがつくテーブル・ゲームを思い浮かべることが多いが、実はスロットマシンを中心とするマシン・ゲーム類のほうが売上げ、収益ともに過半を占める。テーブル・ゲームとマシン・ゲームのほかには、当りの数字を予想して賭(か)けるキノ・ビンゴ部門、スポーツ競技の勝ち負けに賭けるスポーツ・ブッキング(&レース)部門、トランプを使ったポーカー部門などがある。スポーツ・ブッキングとポーカーは成長を続けている部門である。
アジア圏でもカジノを合法化する国は増えつつある。とくにマカオ(中国領)での収益は、ネバダ州ラス・ベガスのカジノ全体の売上げの数倍に達しているほどである。ほかにシンガポール、フィリピン、カンボジア、ベトナム、インドなどで売上げを伸ばしている。アジア人にはギャンブル好きが多いとされ、統合型リゾート(IR)とは名ばかりの、ギャンブルが中心のホテル・カジノが多くを占めている。逆にIRの本家であるラス・ベガスは、カジノ以外のエンターテインメントへの多角化が進み、カジノからの収益は全体の35%程度にとどまっている。アメリカのカジノは巨大な施設(コンプレックス)が多い。
また、ネット空間を利用した「オンライン・カジノ」というものもある。その名のとおり、世界にはオンラインでいろいろなギャンブルをすることのできるサイトが数多く存在する。ヨーロッパでは合法化されたケースが少なく、アメリカではスポーツの賭けを中心に合法化する州が圧倒的多数になりつつあるが、日本では刑法上の違法行為にあたる。
[谷岡一郎 2025年1月21日]
『谷岡一郎・菊池光造編著『カジノ導入をめぐる諸問題〈1〉――アメリカにおけるカジノ合法化の社会的影響〈事例研究〉を中心として』(2003・大阪商業大学アミューズメント産業研究所)』▽『谷岡辰郎著『IR〈統合型リゾート〉がわかる厳選キーワード500』(2020・自由国民社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
語源はラテン語のcasa(郊外の小邸宅)。イタリア語で部屋または舞踏室を指す言葉として使われ,後に集会所,娯楽場や,軍隊用語で将校集会所を示す語となり,そこで賭博が興じられたことから今日では賭博場をいう。カジノの原型は,イギリスで1526年から2世紀半続いた,バッキンガム宮殿内の王室と貴族のための賭博室である。フランスでも16世紀末にアンリ4世により宮廷内に賭博室がつくられた。近世になって,賭博禁止令があったにもかかわらず,イギリスで1764年に貴族と紳士の賭博享楽を目的とした会員制社交場がつくられた。ここからしだいに社交クラブの形式で公然と賭博が行われるようになった。19世紀にはドイツのバーデン・バーデン,フランスのカンヌ,アメリカのサラトガなどに著名な賭博場がつくられた。現在では,観光や外貨獲得の目的で開設を公認している国や地方自治体も多く,モナコのモンテ・カルロ(1861創立),アメリカのネバダ州ラス・ベガス(1931創立)などが大規模で世界的に有名である。カジノにはルーレット,カード賭博,さいころ賭博の設備が備えられ,賭博機械が設置されている。客同士が賭ける場合もあるが,経営者側が賭博を主催するのが普通である。遠方での競馬の馬券やドッグレース券を買えるカジノもある。なお,カジノで行われるカード遊びの意味から転じて,〈カジノ〉という名称のイタリア起源のカードゲームがある。
執筆者:増川 宏一
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