知恵蔵 の解説
統合型リゾート整備推進法案
現在、日本では刑法でカジノを「賭博」として処罰の対象にしている。しかし本法が成立すると、国が認定した区域に限り一定の要件を満たせば設置可能となる。施設の設置・運営は民間事業者が行うが、環境整備・所轄事務は内閣総理大臣が本部長の「特定複合観光施設区域整備推進本部」が担い、管理・監督は内閣府の外局「カジノ管理委員会」が担う。具体的な設置数や規模は示されていないが、「カジノ議連」は東京オリンピックまでに全国2、3カ所の開業を目指している。誘致に関心を示しているのは、横浜市、大阪市、沖縄県など全国約20の自治体。
安倍内閣はアベノミクスの成長戦略の目玉として位置付けており、法案の第一条にも、目的として「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資する」と掲げている。経済波及効果は最大7兆7千億と試算されているが、ギャンブル依存症の拡大、多重債務者の増加、マネーロンダリングの温床、青少年への悪影響、地域の治安悪化といった問題が指摘されている。
(大迫秀樹 フリー編集者/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報