遣方(読み)やるかた

精選版 日本国語大辞典 「遣方」の意味・読み・例文・類語

やる‐かた【遣方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物をつかわす方。送りやる方。
    1. [初出の実例]「やるかたに筆に涙ぞこぼれぬる我あらばこそかきもかはさめ」(出典:頼政集(1178‐80頃)下)
  3. ( あとに打消の表現を伴って用いる ) 思いを晴らす方法。また、施すべき方法。
    1. [初出の実例]「を山田の庵もるかひの夕煙むせぶ思ひをやる方ぞなき〈後鳥羽院〉」(出典:続拾遺和歌集(1278)恋一・七七二)

やり‐かた【遣方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水を引き入れ、流れて行くようにする仕事
    1. [初出の実例]「水衡都尉は都水とて京中の水のやり方を掌るぞ」(出典:漢書列伝竺桃抄(1458‐60)蒯伍江息第一五)
  3. 物事を行なう方法。
    1. [初出の実例]「芝居話は芝居の遣(ヤ)り方を思ふ様に遣らんければならぬので」(出典:落語・武助馬(1897)〈三代目柳家小さん〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「遣方」の意味・わかりやすい解説

遣方
やりかた

土木建築工事において、設計図に示された切取り、盛り土石積み、構造物などの位置、高さ、形状現場で表示するために設置する標識通常木杭(きぐい)を打ち、これに貫(ぬき)(幅の狭い板)を打ち付けて定規とする。丁張(ちょうはり)ともいう。土工事で整地高さなどを示すT字形の遣方を「とんぼ」とよぶ。

河野 彰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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